“RNA”をキーワードに、今年も多くの若手研究者がRNAフロンティアミーティングに集まりました。今回のミーティングには、初めての参加という人が多く、3年連続でこのミーティングに参加している私にとっては、これまでとは雰囲気の異なる会となりました。しかし、メンバーが変わっても、“RNA研究に対する熱い思い”を誰もが持っているという点では変わらないということは、ミーティングでの討論や交流会を通じてよくわかりました。自分たちの研究について互いに意見交換しているときのみんなの顔は、とても生き生きとしていました。
“RNA”と一言でいっても、様々な研究分野に分かれます。small RNAやlong noncoding RNAを研究する人、クロマチンを研究する人、スプライシングや翻訳、安定性、局在を研究する人。これだけを見ても、いかにRNAが多様性を有しているかがわかります。そして、このミーティングに集まった人たちは、このようなRNAの魅力に引きつけられた人たちなのではないかと思います。近年のRNA研究で私が特に面白いと思う点は、未だ明らかにされていないRNAの発現制御や機能などを見出すために、様々な新しいアイディアを提唱し、様々な手法を利用することによって新たな発見を積み重ねていることです。概念的に新しいことが次々と報告されているのは、近年は特にRNAの分野が目立って多いのではないかと私は感じています。今回のミーティングでも、small RNAの発現機構や、分解メカニズム、RNAと結合するタンパク質の構造およびその機能解析などについて、新しくこんなことが言えるのではないかという、ユニークな考えを提唱する発表が多かったように思いました。研究者に重要な発想の豊かさを鍛える上でも、RNAの研究は非常に重要だと改めて感じました。
RNAの発現異常や機能異常などが、がんなどの重大な疾患に関わることは、近年多く報告されています。従って、私たちが行っているRNA研究は、そのような疾患解明のためにも必要不可欠な基礎研究と言えると私は思います。今回のミーティングで議論したことが、RNA研究としての成果のみならず、将来の疾患解明に役立てられなければなりません。
また、今回参加した若手研究者にとっては、このミーティングで発表し、議論して考え、習得したことが、今後の研究者人生の土台となると思います。ただ、今回の口頭発表における討論では、学生同士の議論がやや少なかった点は反省すべき点であると思いますが、そのような反省も踏まえ、このミーティングで勉強したこと、経験したことを活かし、今後の新たな発見に貢献したいと私は思います。
最後に、私たち若手研究者のために、発表および討論する機会を与えて下さいました、東京大学秋光信佳先生、慶應義塾大学齋藤都暁先生をはじめ、多くの先生方に感謝申し上げます。そして、「非コードRNA作用マシナリー」をはじめとする後援の方々に深く感謝致します。
東京大学アイソトープ総合センター 田埜 慶子
田埜さん、今回は発表、そしてスタッフとしての活躍、本当にお疲れ様でした。おかげですばらしい会になりました。今後も若い人のパワーでこの分野をどんどんもり立てていってください。東大分生研・泊幸秀
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