October 5, 2010

Journal Club

Translational repression by deadenylases.
Cooke A , Prigge A , Wickens M
Journal of Biological Chemistry. 2010 Sep 10;285(37):28506-13.


本論文はデアニレースがploy(A)分解とは別に、翻訳抑制を引き起こすことを初めて示したものです。デアニレースとしてはCCR4-CAF1-NOT複合体、PAN2-PAN3複合体、PARNが知られています。今回はCCR4-CAF1-NOT複合体の一員でRNaseD familyに属するCAF1が翻訳抑制することがわかりました。

著者らはゼノパス未受精卵へのインジェクション系を用いて、標的RNAとCAF1をMS2-tagにより直接結合させた際の標的RNAの挙動について解析しています。
予想されるように、CAF1を作用させるとpoly(A)分解と翻訳効率の低下が観察されます。
一方、poly(A)を持たない標的RNAを用いた場合には、CAF1が標的mRNAの安定性を変化させずに翻訳効率を低下させる現象が見られました。また、poly(A)分解活性を損なった変異型CAF1を作用させた場合にも翻訳効率が低下することから、CAF1はpoly(A)分解とは独立に翻訳抑制を行うことが示されました。
さらに、標的RNAの5’末端G-capをA-capに置換した場合や、cap認識をスキップするIRES付き標的RNAを用いると翻訳抑制が見られないことから、CAF1がcap認識段階周辺に作用していることが示唆されました。

今後の課題はより詳細な作用機構を明らかにすることです。特に、CAF1の翻訳抑制作用ドメインの特定、CAF1相互作用因子の関与の有無、生体内における実際の寄与について慎重に見極める必要があります。また、miRNAによる翻訳抑制に関与するかについては、それを支持するデーターも否定するデーターも無い現状であり、今後十分に検討していくことが必要です。

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