November 30, 2013

分生で来日するRNA研究者たち(1)

まずは泊さんと影山さんのワークショップに参加してくれることになったThomas Preissさん、Mattew Simonさん、Ian MacRaeさんから。この3方は、12月5日の泊さんと影山さんがオーガナイズしているワークショップの海外ゲストスピーカーです。

ThomasさんはかつてEMBLのMatias Hentzeさんと長年mRNAの翻訳関連の研究をされていた方で、現在はAustralian National Universityでラボを構えています。
うーん。渋いですね。笑顔がニヒルでちょい悪ですね。ちょっと痩せたロバート・デ・ニーロ、という感じでしょうか。
出身大学はドイツ、ポスドクでイギリス、研究キャリアをEMBLで積み、さらにオーストラリアに移籍。うーむ。すごい国際派ですね。これまでのメインの研究はmRNAと翻訳ですからncRNAとあまり接点がないようにも見えるのですが、彼のところから2年前に出たRNAのメチル化をゲノムワイドに見たというこちらの論文、これは仲間内ではいろいろと話題になっておりまして、なぜかというに、Supplemental Dataを見ると、僕らも解析を進めているMalat1やNeat1などの長鎖ノンコーディングRNAもシトシンのメチル化を受けている!のです。実はそれまでにNeat1の機能とRNAメチル化に何かしらの関連があるかもしれないというヒミツの予備的な結果が出ていて、これは面白い、ぜひ直接会ってディスカッションしてみたいと思っていたところ、ちょうどパラスペックルの発見者、Archa FoxさんがオーストラリアでLorne Genome Conferenceというミーティングの世話人をしている事が分かり、問い合わせるとThomasさんも来ることを教えてくれました。というわけで、思い立ったら吉日、今年の2月、早速行って参りました。この学会の報告は産総研(現北大)の廣瀬さんがRNA学会会報に書かれていますが、廣瀬さんの名文をママ引用しますと「アメリカの一部の先鋭的な研究者ほどの迫力はないにしても、私たち日本人がミーティングを通して仲良くなり、心を開いて付き合っていけそうな良識ある研究者が多い印象を受けました。現地の学生さんとのランチテーブルでは、比較的大人しく真面目な学生さん達に会いました。私の知っているどこか抜け目ないアメリカの学生さんとは大分異なる印象を持ちました。」というのはまさに僕もそう思ったところで、今後、同じ環太平洋、時差もない国、オーストラリアともっと交流を深めていく事は、国際化という事を考えた上でとても有益な事だと思います。と、Thomasさんも日豪間の交流には非常に乗り気で、分生に来てくれるかどうか打診したら即オッケー、しかも、もっと突っ込んで、来年の11月、かの地はシドニーで合同ミーティングを開催する話も持ち上がっています。領域代表の泊さんが開催実現に向けて現在尽力されているところですが、そのうち、詳細が発表される事でしょう。ともあれ、今回は、RNAの修飾、RNAに結合するタンパク質のダイナミックな振る舞いについて、お話ししてくれると思います。

Simonさんですが、元Harvard Medial SchoolのBob Kingstonラボのポスドクで、これもncRNAの仲間内では非常に話題になったCHART (capture hybridization analysis of RNA targets) 論文の筆頭著者、特定のRNAを含む複合体精製ではUCSFのChangラボと共に世界のトップを走っており、現在はYaleで研究室を構えておられます。
つい先日発表された、Xistの染色体上への結合領域の細かいマップと各種クロマチン修飾情報や3Cの情報を比較した論文を目に留めた方も多いのではないでしょうか。CHARTのテクノロジーは一昨年のKeystoneのミーティングでSimonさんの出身ラボ、KingstonラボのポスドクJason君の発表を聞いて以来僕も非常に注目していて、ちょっと話がそれますが、このJason君、とても人がいいのですね。その場で初めて会ったのに、詳しくCHARTの事を教えてくれ、おそるおそる一緒に仕事をしない?って聞いてみたら、二つ返事でオーケー。その後の打ち合わせのメールも詳細にディスカッションにつきあってくれ、しかも、ものすごく手を動かしてくれる。なんといいますか、ものすごく楽しいおもちゃに出会った子供のように、わくわくしながら一つ一つ生命の神秘を明らかにしたい、このテクノロジーで何処までわかるかやってみたい、とう気持ちがひしひし伝わってくるのです。この話を、廣瀬さんにしたところ、そうそう、そうそう、Kingstonラボのポスドク、すごくいい人ですよねえ、と盛り上がっていたのですが、実は廣瀬さんはSimonさんの事を頭に思い描いて話をしていたらしく、そうなると二人の全く異なるポスドクが二人ともとてもいい人、ということで、Kingstonラボというのはとても良いラボに違いないという、という結論になりました。親を見れば子が分かる。子を見れば、親が分かる。ともあれ、この、もうひとりのすごくいい人、Simonさん、ぜひ分子生物学会に呼びたいという事でコンタクトしたところこれも快諾してくれました。今回は先日のNature論文の話題が中心となると思いますが、特定のRNAを引っ掛けて精製してきて、それと相互作用するものを解析するといった仕事に興味のある方にとっては垂涎ものの話になる事間違いなし、です。

Ian MacRaeさんはスクリプス研究所。Simonさん同様、独立してまだそれほど時間が経っているわけではないのでしょうか、見るからに若い!
寡聞にして彼の仕事は良く知らなかったのですが、泊さんの仕事に近いお仕事、即ちRISC複合体の形成メカニズムを生化学的に解析されてこられた方のようです。最近のお仕事はなかなか興味深いですね。Ago2に入ったsiRNAは半減期数日ととても安定だけれども、パーフェクトマッチのターゲットのmRNAと結合するとアンロードされる。ところがミスマッチがある程度あると、このアンロードは抑えられる。特に3'のミスマッチがあるとアンロードされにくくなるので、ノックダウン効率がかえって上がる、ということらしいです。哺乳類ではmiRNAの3'末端はほとんどターゲットとミスマッチの配列らしいのですが、その理由がうまく説明できると。うーむ。なるほど。理由は分からないけれどもそうなっている、それをまあ既知の事実として受け入れてしまう、というのが凡人ですが、そういう疑問にきっちり答えを出せる人というのはすごいですね。最初から狙ってたんでしょうか。だとしたらすごすぎます。

それ以外の海外ゲストは次回に。まだまだすごい人がたくさん来ることになってます!

中川

November 18, 2013

分生のワークショップとCDBでのミーティング

もうすぐ12月、12月と言えば分子生物学会です。当新学術領域の班員では、泊さんと影山さんがワークショップを企画しています。その名も、「non-coding RNAの分子機能と動作原理」です。

分子生物学会はマンモス学会で、ちなみに何故大きい事の例えがマンモスなのかは良くわかりませんが(クジラの方が大きいだろうに、、、)、こじんまりとしたRNA学会や海外のKeystone meetingやGordon conferenceで見られるような濃密な相互作用を期待しても、それはなかなか難しいところがあります。なにせ参加者が5000人以上ですから。ほとんどが知らない人。会が終わる頃にはほとんどが顔見知りの小さいミーティングのようなことは期待できません。それでもスケールメリットというのはたしかにあって、今回の泊さんたちのワークショップでは、海外からなんと3人もゲストスピーカーが来てくれます。大きい学会だと、やはり海外のゲストに声をかけた時に、喜んできてくれることが多いようなきがします。国内に居ながらにして国際会議の雰囲気を味わえるというのは、大きな利点ですね。しかも今回は、参加者同士のディスカッションが希薄になりがちなクジラ学会(うーん、やはり迫力が出ない)の欠点を補うべく、分子生物学会が終わった翌日の土曜日に、RNA関連のワークショップで来日されたゲストを一堂に集めた1 day meetingも一緒に開催します。いわばコバンザメみたいなミーティングですが、実はこちらの方が、面白いかもしれません。

このミーティング、海外から来たゲストとの交流の場として定着してきたTokyo RNA Clubの一環として、当初は企画する予定だったのですが、だって神戸でしょ、Tokyoじゃないでしょ、ということで、別の枠組みで開催する事になりました。雰囲気としては、過去二回、当新学術領域と、新学術RNA制御学との共催でCDB meetingが行われてきましたが、そのシリーズの第三弾、というわけです。ただ、CDBにおられた中村(輝)さんも中山さんも移籍されてしまったので、CDB meetingの冠が外れて、かわりにRIKEN symposiumという冠がついています。となると理研に所属している僕が世話人みたいな感じですが、実質的にほとんど働いていません。。。稲田さん、泊さん、そして秘書さんの方々にお任せっきりで、申し訳ありません。

というわけで、罪滅ぼし?に、今回のゲストの紹介を次回以降、していきたいとおもいます。

中川