怒濤のRNAweekが終わり、余韻(?)のTokyo RNA Club 6th meetingも無事終了しました。前回の5th Tokyo RNA Clubは当新学術の総力(?)を結集した華々しいものでしたが、今回のTokyo RNA ClubもGiuseppe Biamontiさんをお迎えして、これぞscientific communicationと言った感じの、ほっこりとした会になりました。
Biamontiさん。そもそもは細胞生物学会のシンポジウムでRNA学会会長のS見さん(ほとんど伏せ字にする意味なし)がゲスト講演者に招待されて、そのついでに東京に立ち寄ってくださったのですが、さすがレオナルドダビンチの国。挨拶からして「チャオ」ですから違います。ハローとかヘイとかヨーとかオラァッなら慣れていますが、いきなりチャオです。今度から使ってみたいな、慣れない人間が使ったらやけどする挨拶だな、と思いつつ。
またこのBiamontiさん、質疑応答のときの振る舞いが面白くて、だんだん、一歩ずつ下がっていって、マイクから離れて、下がるたびに熱がこもってきて、声が大きくなるのですね。それは別に壇上だけでなく、普通に会話していてもスイッチが入ると、後ずさり。トータルで言うと「距離に比例して大きくなる声/距離の二乗に反比例して小さくなる声=だんだん小さくなる声」を拾うのが大変だったのですが、こだわりと言いますか、研究対象に関する「愛」がとても強く感じられて、これだけの愛を持っているだろうかと、ふと我が身を振り返ってしまった次第です。
最新の結果は勿論のことなのですが、僕が一番印象的だったのは、以下の下りです。
「hnRNPってあるだろ。チャオ。でも、こいつら、別になんか保存されたドメインが有るとか、そういうんじゃないんだよね。でも、同じ名前がついている。機能的にも共通なのはRNAに結合しているってだけなのに。でも、なんで同じカテゴリーに入っているか知ってるかい。こいつら、免疫沈降すると、全部一緒に落ちてくるんだ。AからUまで。ん、もちろん分解しないようにそーっと落としたときだけね。そーっと、そーっとね。分解したら、狙ったタンパク質だけ。そーっと落とすと、全部、いっつも一緒に落ちてくる。それがhnRNPsなんだ。」
「でもHuRとhnRNPAって、ほっとんど同じドメイン構造持っているじゃないですか。RRMの配列とか、違ったりするんですか?」
「ふっつふっつふ。しらんけどね。なんか違うんかね。不思議だね。でも、一緒に落ちてくるのがhnRNPsなんだ。生体内で同じコンプレックスを作っているか、それは知らんよ。じゃ、またね。チャオ。」
これほど明快なhnRNPsの説明を聞いたことがかつてあったでしょうか。hnRNPsという名称は、ゆとり世代とか、僕らの世代だと新人類とか、なんか適当にくくってみました、おいおいそんなに単純なもんではないでしょう、でも一分の真理は含んでいますね、みたいな曖昧なものなのかもしれません。サイエンスとしては、この、何か共通なものがありそうでそれが何か分からない、というところに、この上ない魅力を、感じでしまいます。ncRNAも、やっぱりhnRNPsと複合体を作っているのでしょうか。そもそもhnRNP-RNA複合体は、lysateを作るための生化学的な操作できる副産物に過ぎないのでしょうか。ものすごくきれいなhnRNPsのオートラジオグラフィーのスライドが、いまだに目の底に焼き付いています。
中川
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