July 7, 2011

カイコドラマチック(1)

こんばんは、東大・昆虫遺伝研究室所属の河岡です。
書こう、書こう、と思っていて、機を逸していましたが、中川さんの一連の投稿に触発されて、カイコを材料としたpiRNAの研究について、ちょっとずつ書いていきたいと思います。
昆虫遺伝研究室という、昆虫メインの研究室にいながらにして、なぜpiRNAという分野に入っていくことになったのか、、、そこには、さまざまな出会い、縁がありました。

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さて、僕が所属している昆虫遺伝研究室は、1906年に動物でメンデルの法則を発見した外山亀太郎が在籍していた、歴史の古い研究室です。
研究室には、昆虫好きな人や、昆虫を操るウイルスが好きな人が集まっていて、多様な研究が展開されています(バキュロに操られたカイコの行動は必見です)。

僕はいまから6年前に研究室に参加したのだと記憶していますが、参加当時は、研究室の流れにのって、カイコが持っている抗菌タンパク質の機能(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18076111)とか、鱗翅目昆虫が持っているグロビン遺伝子について(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19059317)とか、まさに昆虫!というような研究をしていました。
そこから低分子RNA、というのはずいぶんギャップがあるなあ、と我ながら思いますが、当時博士課程に在籍していた先輩によって、僕はpiRNAという低分子RNAの存在を知りました。
2006年当時、piRNAはトランスポゾンに相補的な配列を持っていて、トランスポゾンをやっつけてゲノムを守っているのだ、というコンセプトがどんどん出てきていたときでした。

低分子RNAに関する知識があったわけではないのですが、ムシムシした研究をしていた僕にとって、それはずいぶん「おしゃれな」感じのする研究だったのです。
当時は明確なビジョンを持っていたわけでは決してなくて、何となく、かっこよさそうだったので、やってみよかな、と思った、そんなところです。
指導教員の勝間ボスも、ちゃんとやるならどんどんやんなさい、と言ってくれるボスで、恐いもの知らずで、とりあえず先人の真似をしながら自分でできそうなことをやってみることにしました。

つづく

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