こんばんは、河岡です。
どこまで続くか連続投稿。
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時系列的にはBmN4/piRNAの論文が世に発表される前のお話になります。
東大で、東京大学生命科学ネットワークシンポジウムなるものが開催されました。
毎年やっているイベントで、学部/研究科を越えて、学内の研究交流を深めよう、というものです。
そこで僕は、BmN4/piRNAに関するポスタを出しました。
運命というのはあるもので、そのシンポジウムに、泊研のいわさきさんがポスタを出していたんですね。
いわさきさんのポスタはキイロショウジョウバエArgonaute1, 2の翻訳抑制メカニズムに関するものでした(参照: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19268617)。
昨日紹介したお気に入りのレビュー(piRNAs-- the ancient hunters of genome invaders: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17639076)の著者である泊さんのところにいる学生さんらしい、ということで、話してみたいな、と思っていたところにさらなる偶然があって、いわさきさんは修士時代、僕のサークル時代の後輩と同じラボで研究をしていたのです。
これはラッキィ、ということで、彼に渡りをつけてもらったりして、いわさきさんと話をすることができました(別に普通に話しかけりゃいいのですけど(笑))。
最初、このひといけずやわ、と思った、というのは内緒の話で、後日いわさきさんと東大の近くでごはんを食べていろいろ話して、泊さんと話してみたらどうか、という話になりました。
早速泊さんにメールをして、勝間ボスと、泊研におじゃましてみたわけです。
驚いたのが、その近さでした(笑)。
僕のデスクがあった居室と泊研は、建物こそ違うものの、歩いて2分もかからない距離にあったのです。
BmN4をうまく利用して生化学をやりたい、生化学のノウハウを教授してもらえないか、というお願いをしてみたところ、泊さんは快く引き受けてくれました(やった!)。
以降、昆虫遺伝研究室と泊研を行ったり来たりする生活がはじまります。
当時泊研は発足してそれほど時が経っていなかったころで、メンバも、泊さんを含めて5,6人、でしたでしょうか。
いまも一緒に切磋琢磨しているよださんや、ポスドクのかわまたさんなどがいて、少数ながらも非常にアクティビティの高い研究室で、RNA-induced silencing complex、いわゆるRISCがどうやって組み立てられるか、そして、どうやってはたらくか、という方向に、皆で向かっている感じがしました。
昆虫遺伝研究室は扱うテーマが多様で(昆虫なら何でもアリ)、皆がいろんな方向に向かっていたので、面白いコントラストでした。
その後、泊さんにつれられてRNAiまわりの国際学会にも顔を出すようになり、僕は、Insect、RNAi、両方の領域に顔を出すようになったわけです。
そう、このとき、異なる分野に顔を出すことの重要性に気がつきました。
どの分野にも良いところがありますし、その分野の一線で活躍している研究者には哲学があります。
一生の友人も得られるかもしれません。
ふたつのタイプの研究室/研究領域を「同時に」体験できたことはほんとうに素晴らしいことで、そこで得たこと、考えたことは、僕がサイエンスというものを考えるときのひとつの礎になっているように思います。
さて、本筋に戻りましょう。
そんなこんなで、機は熟せり。
かわいいBmN4細胞を材料にして、どう料理しようか。
昨日紹介した「RNAi A GUIDE TO GENE SILENCING : edited by Greg. Hannon」の5章に記されている通り、というか科学一般に、対象を「つくることができる」、というのはすごく重要です。
つくることができれば、かなりのことを理解できるはずです。
そう、お料理の名前は、「in vitroでつくったpiRNA」、でした。
つづく
学生時代に複数のラボを経験するという事は非常に大事なことだと思います。こちらの常識は隣の非常識。学会などの発表を聞いていても、なぜそれをやらない、というようなことは良くありますし、よそから見れば逆でしょうし。皆さんK岡君のようにどんどん積極的によそのラボに出向くようになれば良いと思います。まあ彼はかなり特別か、、、
ReplyDelete中川
いつもコメントありがとうございます。
ReplyDeleteエントリは、中川さんのコメントが出てから更新することにします(笑)。
とりもなおさず、そんなふうにできたのは、それを許してくれる、というか、自由にそうさせてもらえる環境にあった、ということで、僕は最近ひとに感謝するということを覚えました。
河岡