January 11, 2011

Journal Club

An in vivo RNAi assay identifies major genetic and cellular requirements for primary piRNA biogenesis in Drosophila.
Olivieri D, Sykora MM, Sachidanandam R, Mechtler K, Brennecke J.
EMBO J. 2010 Oct 6;29(19):3301-17. Epub 2010 Sep 3.

 今回紹介した論文において著者らは、Drosophila ovaryにおけるin vivo RNAi assay系を構築し、primary piRNA生合成の必須因子として、Armitage (Armi), Yb, Zucchini (Zuc) を同定しました。これらの因子のうちいずれかが欠けると、トランスポゾンの脱抑制、piRNA量の変化、PIWIの核への蓄積が見られなくなるなどの現象が観察されました。また、RNAiで各因子を欠損させたfollicle cell を蛍光顕微鏡で観察することにより、ArmitageとYbが相互作用しており、Yb bodyに共局在することも分かりました。

 著者らはまず、Drosophila ovaryのsomatic cell(follicle cell)で特異的にin vivo RNAiを起こすためのassay系を構築しました。実際にこのシステムを用いてpiwi をK.D.して実際にRNAiが働く事を確認しています。また、piwi K.D.にともないfollicle cellのトランスポゾンであるZAMやTaborの発現量の増加も確認されました。
このシステムを用い、piRNA経路との関連が示唆されている様々な因子のK.D.を行ったところ、Piwi、Armi、Zucがprimary piRNA経路に必須な因子として同定されました。Armiがprimary経路に関与するという結果は、ArmiがGermlineのpiRNA 経路のみに関わるという過去の知見と矛盾していますが、著者らは過去の論文で用いられたarmi mutant alleleではその変異の効果が十分ではなかったためと推論しています。
 次に著者らは、follicle cellにおけるArmiの局在を蛍光顕微鏡により調べています。その結果、ArmiはYbとともにYb bodyに共局在していることが分かりました。また、OSC lysateを用いたIPの実験から、ArmiとYbは相互作用していることが明らかとなりました。さらに、先述のin vivo RNAi によりYbをK.D.するとZAMやTaborの発現量が増加することから、Ybはsomatic piRNA経路の必須因子であることが示唆されました。また、ArmiとPiwiについてもIPの実験により、RNAを介して相互作用していることを確認しています。
 続いて、Armi、Zuc、Yb、Piwiを相互にK.D.してfollicle cellにおけるそれぞれの局在を調べたところ、Armi、Zuc、Ybの欠失によりPiwiの核への局在が見られなくなりました。zuc K.D.ではPiwiの核局在が見られなくなるのに加え、核の周辺への局在が確認されました。さらに、それぞれの変異体においてpiRNAの量を調べており、armi、zuc、yb、piwi K.D.によりpiRNAの量が減少することも確認されました。

 Saito et al.(参考1)の論文においても、DrosophilaのOSC (ovarian somatic follicle cell line) でのRNAi-based screeningにより、Armiがsomatic primary piRNA経路に必須の因子として同定されています。また、免疫染色による局在の観察により、OSCとfollicle cellのいずれでも、ArmiとYbはYb bodyに共局在していることも観察されました。また、ArmiとPiwiが相互作用しており、ArmiはPiwiがYb bodyに局在するために必要であることも同様に報告されています。
さらにこの論文では、OSCにおいてArmi欠損後にmyc-piwiをトランスフェクションして局在を観察すると、全て細胞質に局在することが観察されました。また、Yb欠損体やPiwiのPAZドメイン変異体においても、Piwiの核への局在が見られなくなり、細胞質に蓄積しました。これらのことから、OSCにおいて、ArmiとYbはPiwiの核への局在に必要な因子であることと、piRNAローディングの後にPiwiが核へ移行することが示唆されました。

 Haase et al. (参考2) においても関連する報告がなされています。こちらの論文は、OSS (Drosophila ovarian somatic sheet cells) を主なマテリアルとして用い、RNAi assayにより、トランスポゾンサイレンシングのinitiation phaseとeffector phaseにおけるpiRNA経路関連因子の役割を解析することを目的としています。
Olivieri et al.と同様に、armiもしくはzuc K.D.でPiwiの核局在が見られなくなり、WBによりPiwiのタンパク質量の減少も認められました。一方でPiwi mRNA量は減少しておらず、これらのことからArmiとZucはpiRNA経路のinitiation phaseに関与していることが示唆されました。
 また、こちらの論文では、proteomic analysisにより、Piwi RISCにはArmiとSquashが含まれていることが示唆されました。squash mutantでは、gypsyが有為に脱抑制される一方、piRNAの量やPIWIの量には影響がなく、Squahがeffector phaseで働いている可能性が示唆されました。さらに、Zucにおいても解析を行っており、Zucのpersumed null alleleとcatalytically dead alleleにおいて、total piRNAとflamencoにマッピングされるpiRNAの量はともに減少しました。また、gypsy、idefix、ZAMの発現量の増加とpiRNA populationの減少も観察され、その影響はcatalytically dead alleleで特に大きいことが分かりました。また、zuc mutant ovaryでflamencoの3つの異なる領域を増幅するプライマーセットによりqPCRを行ったところ、flamenco由来のlong RNAが著しく増加しました。このことから、Zucはflamenco由来piRNAのprimary processingに必要な因子であることが示唆されました。


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(参考1)
Roles for the Yb body components Armitage and Yb in primary piRNA biogenesis in Drosophila.
Saito K, Ishizu H, Komai M, Kotani H, Kawamura Y, Nishida KM, Siomi H, Siomi MC.
Genes Dev. 2010 Nov 15;24(22):2493-8. Epub 2010 Oct 21.

(参考2)
Probing the initiation and effector phases of the somatic piRNA pathway in Drosophila.
Haase AD, Fenoglio S, Muerdter F, Guzzardo PM, Czech B, Pappin DJ, Chen C, Gordon A, Hannon GJ.
Genes Dev. 2010 Nov 15;24(22):2499-504. Epub 2010 Oct 21.

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