影山です。
シアトルで行われたRNA Meeting 2010から帰ってきました。時差のおかげで日本-デンマーク戦も快適な時間(ちょうどお昼休み)で観ることができ、思わぬ得をした気分です。
それはともかく。
せっかくなので感想を少し。
RNA Meeting は国際RNA学会の年会ですが、参加するのは4年振りです。もともと若手研究者に向けた試みを積極的にするところでしたが、今回は特にそれを強く感じました。
午前中に毎日行われる基調講演は各分野の歴史的な背景から始まり、現時点での研究の動向がわかるように各人工夫されており、そのまま大学院の授業として使えそうなくらい充実していました。もともとRNA Meetingでは、各セッションの冒頭で、座長がその分野の動向と各発表の位置付けを説明すると言う慣習があったのですが(日本のRNA学会はそれを真似ています)、それがさらに進められた感じです。
また、若手研究者向けに以下のプログラムが行われました。
・Career Development Workshop(講演中心のものとグラント申請の2回)
・Junior Scientists Social
・Mentor-Mentee Lunch
出不精なわたしはどれにも参加しませんでしたが、それぞれ1時間から2時間かけて行われるプログラムで、気合いが感じられます。学会の存在意義は研究者間のコミュニケーションにつきますが、ここではそれに加えて人材の育成を標榜しているのがわかります。研究活動においては、何事も人が基本ですから。
肝心の研究発表ですが、RNAスプライシング、RNAプロセシング、RNA品質管理、翻訳、リボザイム、RNA構造解析、RNAサイレンシングと多岐にわたっており、個々の研究内容の紹介はここではやめておきますが、RNA研究の今がそのまま反映されていると言ってよいと思います。歴史的経緯からか、スプライシングとリボザイムが充実しているのもこの学会の特徴かもしれません。今回は以前にも増してバイオインフォマティクスの発表が多かったのが印象的でした。
ただし、残念ながら、高分子量ノンコーディングRNAの発表は必ずしも多くはありませんでした。おそらくは、スプライシングや翻訳といった典型的なRNA研究とは違うところから高分子量ノンコーディングRNAの研究が出てきたことも関係しているのでしょう。もちろん研究者人口が絶対的に少ないことも一因と思います。
ポスドクの稲垣さんのポスター発表を手伝っていて気がついたのは、直接関係する仕事をやっている人は少ないと思われにもかかわらず、高分子量ノンコーディングRNAに対する関心が思ったよりも高いことです。
4年前には興味本位で来る人の方が多かったという印象があるのですが、最近になっていくつか高分子量ノンコーディングRNAに関するよい論文が出ているせいか、熱心に聞いてくれる人もいて、高分子量ノンコーディングRNAが市民権を得つつあるように感じました。
あとはよいデータを出すだけですね。それが大変なんですけど。
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