[1] Mammalian miRNA RISC recruits CAF1 and PABP to affect PABP-dependent deadenylation.
Molecular Cell. 2009 Sep 24;35(6):868-80. PMID: 19716330
[2] The silencing domain of GW182 interacts with PABPC1 to promote translational repression and degradation of microRNA targets and is required for target release.
Molecular and Cellular Biology. 2009 Dec;29(23):6220-31. PMID: 19797087
[3] Structural insights into the human GW182-PABC interaction in microRNA-mediated deadenylation
Nat Struct Mol Biol. 2010 Feb;17(2):238-40. PMID: 20098421
[4] CCR4-NOT deadenylates mRNA associated with RNA-induced silencing complexes in human cells.
Molecular and Cellular Biology. 2010 Mar;30(6):1486-94. PMID: 20065043
真核生物のmRNAは3’末端に長いアデニンヌクレオチド鎖(poly(A))を持ち、その構造を安定化しています。poly(A)分解はmRNAの分解経路における最初のステップです。はじめにPAN2/PAN3脱アデニル化酵素がゆっくりと同調的にpoly(A)を~110nt程度に分解し、続いてCCR4/Caf1/NOT脱アデニル化酵素複合体が残りのpoly(A)をすばやく除去します。脱アデニル化されたmRNAの5’Capは脱キャップ化酵素であるDCP2により除かれ, 5’→3’エキソヌクレアーゼXrn、もしくはエキソソームによって3’→5’側からmRNA本体が分解されると考えられています。
今回紹介した論文は、miRISCがCCR4/Caf1/NOT脱アデニル化酵素複合体を動員し、標的mRNAの脱アデニル化を誘導する過程を詳細に解析したものです。以下、各論文の要点をまとめます。
[1]の論文では主にマウスKrebs-2細胞のライセートを用いたin vitroの実験を行っています。はじめに質量分析を行い、Ago2結合タンパクとしてPABPやCaf1が候補として上がってきました。ライセート中からCaf1を除くとAgo2を介した脱アデニル化が進行しないこと、翻訳抑制が解除されることが示されました。次に、ドミナントネガティブ型のGW182をライセート中に加える、もしくはライセート中からPABPを除くと脱アデニル化が阻害されることから、GW182、PABPを介したものであることが示唆されました。GW182はそのDUFドメインにPAM2モチーフを持ち、PABPのC末端ドメイン(PABC)と結合していることから、Ago2-GW182-PABP相互作用がCCR4/Caf1/NOT脱アデニル化酵素複合体を動員して脱アデニル化を進行するのに必要であることが示されました。
[2]の論文ではショウジョウバエのGW182がPABPと結合する際に必要なドメインを同定しました。ショウジョウバエのGW182は、PABPとの結合様式がヒトやマウスと異なり、主にDUF/RRM以降のC末端ドメインがPABPのRRM1-4ドメインと結合していることが示されました。また、GW182は脱アデニル化以降の段階でmiRISCから解離することが示されました。
[3]の論文ではヒトTNR6CのDUFドメインと、PABPのC末端(PABC)の結晶構造を明らかにし、結合に関わるアミノ酸残基を同定しました。DUFドメイン中のPAM2モチーフにおいて同定されたアミノ酸をアラニンに置換するとPABPとの結合が阻害されること、さらに脱アデニル化誘導能が大きく損なわれることが示されました。
[4]の論文ではHeLa細胞を用いて、Agoを介した脱アデニル化に関わる酵素を同定しました。ドミナントネガティブ型をトランスフェクションした実験により、CCR4/Caf1/NOT脱アデニル化酵素複合体がこの経路に大きく寄与しており、その一方でPAN2/PAN3やPARN脱アデニル化酵素はほとんど関わっていないことが示されました。さらにCCR4/Caf1/NOT脱アデニル化酵素複合体中において脱アデニル化活性を持つCCR4とCaf1のうち、Caf1の関与がより大きいことが示されました。ヒトにはCaf1のパラログであるPOP2が存在しますが、siRNAを用いたノックダウンの実験によりPOP2ではなくCaf1が主に働いていることが明らかになりました。また、Ago1-4を標的mRNAにテザリングする実験において、Ago1-4がそれぞれ同等の脱アデニル化誘導能を有することが示されました。
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