June 21, 2012

Malat1のパラドックス(1)


以前ここでもたびたび取り上げていたMalat1をノックアウトしても何にもおきませんよー、という論文、ついに公になりました。僕らのグループのRNAに掲載される論文がこちらMalat1をクローニングしたSven DiederichsさんのRNA Biologyに掲載される論文はこちら。そしてMalat1が局在する核スペックルのPoly-A(+) RNAをずっと追いかけてこられた、この分野の大御所David SpectorさんのCell Reportsに掲載される論文がこちらです。最初はJ Cell Sciに一緒に投稿しようね、とか言っていたのですが、紆余曲折あってそれぞれ収まりの良いところに収まった感じです。詳細は次回以降に。なんでGomafuなあんたがMalat1やっているの?とか突っ込まれてしまいそうですが、これには訳がありまして、今をさかのぼること4年前、分子生化合同学会BMB2008でPrasanthさんが来日されたのを覚えておられるかたは、、、あまりおられないかもしれませんが、Malat1ノックダウンで細胞の核スペックルは乱れに乱れ、しまいには分裂異常で死ぬという話をした人といえば、少し記憶に片隅に残っている方もおられるのではないでしょうか。その後、2010年のMol Cellにこれらの話は掲載された訳ですが(えらい時間がかかっているんですがこれもまた次回以降に)、学会前後にいろいろディスカッションしているうちに、「やっぱりネズミでの機能を見たいんだけどね、でもCSHLのマウス部門の人々、言を左右にしてなかなかノックアウトマウス作ってくれないんだよね、どうしたもんかいね。」と言うものだから、「じゃあ超速!神戸理研CDBでネズミを作ってみたら?Neat1のノックアウトマウスを作ったところだからBACクローンも手元にあるし(Malat1はNeat1のすぐ横にある遺伝子)、ベクターはすぐできますよ。僕が個体レベルでの解析をして、表現型が見つかったら細かい分子メカニズムをあなたが解明する、っていうのはどう?」と、軽い冗談のつもりで言ってみたら、思い切り冗談を真に受けられて、でも僕自身Malat1という遺伝子にはとても興味がありましたし、当時は(今も、、、)核内で構造体を作るノンコーディングRNAだったらもう誰でも良い!状態でしたし、じゃあオーサーシップとか良く分かんないけれどもとりあえず共同研究しましょうか、細かいことは後で決めましょうや、ということで廣瀬さんとのNeat1押し掛け女房プロジェクトに引き続き、海をまたいだ押し掛け女房第二弾、Malat1ノックアウトマウスプロジェクトがスタートした訳です。2008年12月12日。金曜日のことでした。(続く)

(ああ、また始めてしまった、、、)

中川

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