June 15, 2012

神戸大学の三嶋です。


 神戸大学の三嶋です。平成22−23年度から引き続き公募班として参加いたします。大盛況に終わったCDB meetingに参加された方々は熱気冷めやらぬ、と言ったところだと思います。私も大いに刺激を受け、実験の手を動かしたいのをぐっとこらえて(?)簡単な自己紹介をさせて頂きます。
 私は「
microRNAが標的mRNAを抑制するしくみの解明」を目指して研究を行っています。「miRNAが発見されてから20年以上経つのにまだそんなことを言っているのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが実に複雑で興味深い。miRNAは複数のアウトプット(翻訳抑制、mRNA分解、ポリ(A)鎖の短縮)を引き起こすため、それぞれの現象の貢献とメカニズムに関して複数のモデルが提唱されており、なかなか決着しません。CDB meetingAntonio GiraldezKevin Struhlが「翻訳抑制とmRNA分解どっちが重要か?」と議論を戦わせていたのをご記憶の方もいらっしゃると思います。同様の議論が学会の度に巻き起こっています。
 この議論を穏便にすますための落としどころとして、使っているレポーターや培養細胞の種類、抽出液など「実験系の違い」がしばしば挙げられます。この「違い」こそが実は生物学的に大きな意味があるのではないか、あったら面白いな、というのが私の今の興味です。さて、そうなるとそのいろいろな「違い」を比較できる状況で
miRNAの作用機序を解析しなければなりません。そこで私がモデルとして使っている「ゼブラフィッシュ」の出番です。ものすごいスピードで発生が進むゼブラフィッシュ胚には様々な種類と状態の細胞が含まれています。この「生きた胚」をin vivoモデル系として、miRNAによる抑制システムのheterogeneityを検証して行きたいと思います。
 研究では
TAL nucleasesによる遺伝子破壊法を取り入れていますので、こちらの方でも領域の皆様と相互作用できればと期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。

 
三嶋

1 comment:

  1. たしかにAntonioとStruhlの議論は熱かったですね。途中から全くついて行けませんでしたが、、、
    実験系というのはとても大事ですね。違いに真実があるというのは全くそうだと思います。lncRNAの業界にもいろいろなパラドックスがあります。そのパラドックスの謎が解けたときに新しい地平が開けるのでしょう。

    TANENは興味深い技術ですね。神戸ではあまり話をする時間がありませんでしたが、ぜひ領域会議で。

    中川

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