November 2, 2010

EMBL symposium

10月13日から16日にかけて、ドイツのハイデルベルク市郊外のEMBLで開催されたEMBL symposium “The Non-Coding Genome”の様子を報告します。参加者は総勢で300名程度ありましたが、日本からの参加は少なく、我々のグループ(私と大学院生の田埜さん)の他は、塩見研グループ(春彦先生、美喜子先生、石津さん、三好さん、長尾さん)だけでした。
 会場は、2010年3月に公式オープンしたばかりのThe EMBL Advanced Training Centre (ATC) です。外観はヌクレオソーム構造に似ており、内部には2つのらせん階段がDNA二重らせん構造を模して作られていて大変ユニークな建築物でした(http://www.embl.de/training/eicat/atc/pictures/gallery_exterior/index.html)。らせん階段に沿って、ポスター掲示場所があるので、スロープを登り降りしてポスターを見るような構成でした。このATCでは、様々なミーティングを開催するのみならず、トレーニング施設も併設しており、今回のミーティング中もpre-docコースが開催されていました。プログラムの内容から、小人数でインタラクティブなコースプログラムのようです。このような充実した環境で、かつ現役バリバリ(EMBLのグループリーダーに着任したばかりの知人が講師をしていました)の若手研究者が講師となっており、研究と教育の層の厚さ、そして研究サポート体制・環境の充実を実感しました。
 さて、“The Non-Coding Genome”では、47の口頭発表と235のポスターが発表されていました。全体の感想としては、小分子ノンコーディングRNAが多く、私が主に興味を持つ長鎖ノンコーディングに関する研究発表は全体の2割弱程度でした。それも、分化刺激やストレス刺激によって発現変動するノンコーディングの候補を見つけるような発表が多く、長鎖ノンコーディングRNAの生理機能やメカニズムについて踏み込んでいる発表は非常に限られていました。そのような中で、Harvard Medical SchoolのDr. John RinnによるlincRNAの発表(口頭発表)がピカイチだったと思います。Dr. Rinn は、最近Cell誌に発表したp53の遺伝子発現ネットワークにおけるlincRNAの関与を報告しており、そのデータも発表していましたが、さらに、lincRNAが脂肪細胞の分化にも重要である可能性を示す新しいデータも報告していました。lincRNAが生理的に働いて入る可能性を示す大変興味深い発表でしたが、なによりプレゼンテーションが大変上手で、大変勉強になりました。
 総じて、発表のレベルは高く、大変有意義なミーティングでした。2年後にも同様なミーティングを開催したいとアナウンスしていましたので、2年後には核局在ノンコーディングRNAの機能を説明する分子機構を是非とも発表したいと思っています。

東京大学アイソトープ総合センター
秋光信佳

2 comments:

  1. 面白そうな会ですね。次回は是非参加したいものです。長鎖ノンコーディングRNAの世界は、small RNAがメジャーリーグだとすれば、まだまだ草野球のような状態ですので、がつんと、一発行きたいものですね。

    中川

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  2. これ行きたかったんですよね... わたしも次はぜひ参加したいです。

    影山裕二 岡崎統合バイオ

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