September 23, 2010

Torontoの人々(1)

今回はMagohという田舎町で開催されたRiboclubという、参加者の面子はちょうどRNAの若手の会のような、しかしスピーカーはほとんどYoung PIというミーティングに参加するためにカナダくんだりまでやってきています。会の様子などはうちの学生さんのほうから報告があると思いますので、その前に訪れたトロントのRNA事情についてちょっと書いてみます。

RNA事情、といっても、そもそも僕はこの業界に足を踏み入れて間もないですし、そんなに事情通でもないので、むしろ今回訪れたBen Blencoweさんとその仲間、という感じでしょうか。

彼がいるのは、こちらの建物。ウェブサイトから勝手に引っ張ってきてます。

いやまたファンシーなビルディングですね。これはドイツ人の親子の建築家、Baenisch & Baenischの作品だそうです。この写真からは良く分かりませんが、実は左の方にある煉瓦造りっぽい建物とガラス張りの建物が融合しています。トロントの町は新旧の建物が混在しているところがとても印象的だったのですが、その究極の姿と言いますか、ガラスの建物に入っていくと、隣の建物の壁が見えるーというとても不思議な体験をします。しかも、古い建物の庭がそっくりそのまま新しい建物に組み込まれていて、この建築家のコンセプトというか、主張というか、心意気がびんびん伝わってきます。この庭は竹藪で、なかなか壮観だったそうですが、日当たりが悪くなったせいかなんなのか、2005にオープンしてすぐに枯れてしまったそうです。現在は膝ぐらいの笹がちらほら生えているだけ、、、これからどんな植物相に遷移していくんでしょうか。カメラを持ってくるんでした。

ちなみにトロントの博物館ROMも、同様に、ガラス張りの新しい建物と、古い建物がくっついています。同じ建築家の作品かと思いきや、こちらはDaniel Liebskindさんの作品とか。知ってるだろ、グランドゼロのcompetitionに参加した、あのDanielだよ、とかBlencoweさんは言うのですが、普通、知らないですよね。彼、こだわりの人です。

このビルがDonnelly Centerで、古い方の建物はトロント大学のMedical Centerのビルになります。古い方のビルにはほとんど窓がなく、そこにいるとある教授がその建物に入った時に最初にしたことは、壁をぶち抜いて窓を作ることだったとか。全く窓がないなんてひどいこった、でもいつだったか大雪が降ったときにDonnelly centerのガラスの天井がぶっ壊れて落ちたんだよ。僕らのビルはほとんど窓がなくてよかったよ。はっはっはっ。と、この大変気さくなおじさんは、実は1987にショウジョウバエのBithoraxoid (bxd)領域の遺伝子間領域からノンコーディングRNAが転写していることを初めて報告した、Howard Lipshitzさんでした。彼は神経細胞の非対称分裂を制御するNumbの仕事をしていて、そちらのほうの仕事は僕も少し知っていたのですが、まさかノンコーディングRNAの草分け的仕事をした人だったとは。現在のノンコーディング研究の隆盛、特にクロマチン修飾とノンコーディングRNAに関しては、彼自身積極的に関わろうとしているわけではないそうですが、我が子の成長を見るような思いで、ちょっと距離を置きつつ、ずっと興味を持ちつづけているそうです。

とまあ、なんだか建物の話ばかりになってしまいましたが、サイエンスに関しては、次回。

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