Nat Struct Mol Biol. 2010 Jun 18. [In press]
Unique functionality of 22-nt miRNAs in triggering RDR6-dependent siRNA biogenesis from target transcripts in Arabidopsis.
Cuperus JT, Carbonell A, Fahlgren N, Garcia-Ruiz H, Burke RT, Takeda A, Sullivan CM, Gilbert SD, Montgomery TA, Carrington JC.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Jul 19. [In press]
22-nucleotide RNAs trigger secondary siRNA biogenesis in plants.
Chen HM, Chen LT, Patel K, Li YH, Baulcombe DC, Wu SH.
植物では、small RNA(miRNA等)にターゲットされた転写産物から、RNA dependent RNA polymerase 6 (RDR6) 及びDicer like protein 4 (DCL4)依存的にsecondary siRNAが作りだされることが知られています。
しかしsmall RNAにターゲットされた全ての転写産物からsecondary siRNAが生成されるのではなく、限られたsmall RNA-ターゲットRNAの間でのみsecondary siRNAは生成されます。
これまでsecondary siRNAが生成される「ルール」は謎でしたが、Cuperusら及びChenらは、次世代シークエンス技術と分子生物学的証明により、典型的な21塩基のmiRNAやtrans acting siRNA (tasiRNA)でなく、22塩基の比較的珍しいmiRNA及び tasiRNAでのみsecondary siRNA生成が促されることを明らかにしました。
この論文の面白い点は「取り込まれたsmall RNAの長さによってRISCの機能が変わる」ことを示唆している点です。
21塩基、22塩基のmiRNAはアラビドプシスAGO1に取り込まれ、どちらもターゲットRNAの切断を促すにも関わらず、22塩基のmiRNAのみターゲットRNAからのsecondary siRNA生成を促すことができます。これまでsmall RNAは長さに関係なく、相補的な塩基を持った特異的なターゲットRNA上にRISCを導くことが主な役割であると考えられてきましたが、この二本の論文より、ちょっと長い(22塩基の)small RNAはsecondary siRNAを生成する機能をRISCに付与する可能性が示唆されました。
今後の課題は、22塩基のsmall RNAを取り込んだRISCはどのようにしてRDR6及びDCL4を介したsecondary siRNA生成を可能にするのか、その機構を解明することです。22塩基のsmall RNAはAGO1の構造を変えるのか? その構造変化がRDR6またはその関連因子を引き寄せるのか?謎はたくさんありますが、おもしろい分子機構であることは間違いなさそうです。
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