July 19, 2010

Long noncoding RNA探し

Long noncoding RNA genes: conservation of sequence and brain expression among diverse amniotes.
Chodroff RA, Goodstadt L, Sirey TM, Oliver PL, Davies KE, Green ED, Molnar Z, Ponting CP.
Genome Biol. 2010 Jul 12;11(7):R72.
こういうタイトルの論文は大変心臓に悪いのですが、その一方、アフリカのサバンナで同志に出会ったような心強さも感じます。

以前泊さんが紹介されていた論文にもありましたが、これだけ時代が進んでも、「大きなRNA」、すなわち高等真核生物のゲノムから大量に転写されているとされるmRNA-likeなノンコーディングRNAがいったいどれぐらい重要な生理機能を持っているか、ということについては、いろんな人がいろんなことを言っていて、きちんとしたコンセンサスはありません。研究者人口が少ないというのがその一番の理由だと思いますが、やっている人がふがいないというのも大きな理由かもしれません。反省。

この論文でも、3種類のノンコーディングRNAを報告していますが、機能的なことには言及はありません。ただ、論文の骨子としては、ヒトとマウスのように進化的に非常に近い種間では、あまり機能的に重要でなくても、ある程度の配列の保存が見られてしまうだろう。従って、多少進化的に離れた脊椎動物を比較して、それでたとえば配列なり発現パターンが似ているものがあれば、機能的に重要なのではないか。ということを主張しているわけです。オポッサムとニワトリの脳の同じような領域に発現しているノンコーディングRNAを面白い!と思うかどうかはともかくとして、引いてしまう人の方が多いとは思うのですが、こういった知見が積み重ねられていくことは重要だと思います。

ちなみになんで3種類なの?という疑問が当然わいてくるわけですが、Fantom3 clone set で「ノンコーディング」として登録されている3122種類のうち、種間で保存された予想タンパク質を「コード」しているものをはずし、タンパク質をコードしている遺伝子のそばにある物をはずし、しかもトリなどの進化的に離れた種でも保存されているもの、といった絞り込みをすると3種類になるそうです。性格の悪い僕はこの絞り込みで重要な物が落ちていますように、なんて思ってしまうのですが、そういうことを思っているから天罰が下って仕事がすすまないのでしょうか。。。

中川

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