March 1, 2014

Keystone Meeting @ Santa Fe 1日目


すっかり春めいてきて花粉が飛び始めそうな日本を離れ、やってきましたKeystone Meeting。しばし花粉の苦しみから逃れられると思っていたら、ここサンタフェでは既に花粉が飛んでました。前回はスキー場で花粉フリーの環境だったのに。。。眼がかゆくて仕方がないので、休み時間もホテルに閉じこもって仕事をするはめになりそうです。

今回も、lncRNA中心のお話。前回同様、200人ぐらいの規模で、いつも通り密度の濃いミーティングになりそうです。論文未発表のデータがばんばん出てくるところがこのミーティングのすごいところで、道義上全てこういう場所で総てをばらしてしまうわけにはいかないのが残念ですが、自分の仕事にも、領域のメンバーの方々の仕事にも、役に立つ情報満載です。PRC2のかなりしっかりとした生化学的な解析もありました。うーむ。(豪州以外の)海外出張は時差ぼけで苦しむし、家を長期間はなれなければいけないのでいまいち乗り気ではないのですが、やはりたまには無理してでも出かけていって、世界の最前線の研究に触れるのは必要なのだなとつくづく思いました。また、前回も思いましたが、海外に出ると、初めて青い地球を見たガガーリンのような気持ちになれるのですね。ここのところSTAP騒動で震災直後のような不安で落ち着かない時間を過ごしていたのですが、しばらくは世間を離れ、研究活動に集中できそうです。幸せ。幸せ。

細かい内容はともかく、印象的だったのがThomas Cechさんの座長。ただ司会をするだけでなく、トークの後に個人的な印象を簡潔に述べたり、聴衆に向かって簡単な解説をしたり。特に面白かったのが、いわゆるpermutationについてのコメント。いつかBartelさんが来日されたときにTokyo RNA Clubで話されたCyranoの仕事をした2nd anthorが独立してその動作原理の研究をしているのですが、そこでpermutationを奇麗に使った仕事の話をされていました。Permutationは、RNAの配列に変異を入れて、もう片方のターゲットのRNA等に相補的な変異を入れれば、機能は保たれるということでRNA業界ではよく使われる「古典的な手法」なわけですが、「若いポスドクの人や学生の皆さん知らないかもしれないけど、こんな古くさい手法でも、RNAとしての機能を知るためにはとても強力な手段ですので、lncRNAの研究にももっともっと使ってみましょうよ」というCechさんのコメントは、まさになるほど、と思いました。おじいさんは古い技術が好きなんです。っと、微妙に失言ですが、温故知新ではありませんが、古典と言われる手法が切り札となることはたくさんあるのだと思います。最先端に触れるのも大事ですが、研究の歴史を知っている人の言葉を聞けることも、この手のミーティングの醍醐味ですね。

前回はJohn Mattick, Jeannie Lee, Kevin Morrisといった、ちょっと山師、おっと大失言、新感覚のRNA研究者がオーガナイザーだったこともあり、カジュアルなお祭りみたいな雰囲気がありましたが、今回はThomas CechやPhil Sharpといった重厚なRNA研究者がでーんと最前列に座っているので、ちょっと雰囲気が違います。これから3日間、随時報告をしていこうと思いますが、そういえば泊さんのところのJuan君もいましたので、彼にも何か書いてもらいましょう。いろいろ感じたところがあったと思いますので。

中川

No comments:

Post a Comment