March 3, 2014

Keystone Meeting @ Santa Fe 3日目


午前中は、出口の話。国内のRNA学会ではなかなか聞けないたぐいの医療応用の話ですが、基礎研究の行く先には必ず出口があるわけで、出口があるからこそ基礎研究でもお金がもらえる。ベンチャー作ったけどつぶれちゃってねえ、みたいな笑い話もありましたが、こういうセッションを入れるのはスポンサーの要望もあるのでしょうか。内容は、、、僕に言わせるんですか、それを、という感じでしたが、講演者の交代があって、なぜかJeannie Leeさんが出てきて(LNAを使うとXistが染色体からはがれる、というような所から始まって、このオリゴを使うRaNA(ラナ)というベンチャーがあるらしい)、「突然話をしてねって言われても。困ったわね。私、この手の話うまくできるかしら。全然準備してない学生の発表だと思って聞いてね。」とかなんとかいいつつ、まったくよどみのない講演。質疑応答はもはや恒例となったマングースDannyさんとのやり取り。うん。マンネリは大事です。水戸黄門の印籠みたいなものですね。吉本でいえばパチパチパンチみたいなものでしょうか。きたきたきた、これがないと落ち着かないでしょう。みたいな感じでしょうか。

と、サイエンスと全然関係のない話をしてもしょうがないので、今日のベストプレゼン。いつものことですがHoward Changさんでした。CHIRPを駆使して、ncRNAがモジュールとして機能していることを見事に示していました。なぜショウジョウバエで性染色体のdosage compensationに関わるroX1とroX2が配列が全然違うのに同じ機能を持つのか。どうやってそれらが性染色体を「ペイント」していくのか。長年の謎がすーっと解けていくようなトークはまさに別物でした。うーむ。何が違うのでしょう。とりあえずキーストンが終わったら彼のところに行って色々教えてもらってきます。この領域にも何かフィードバックが出来れば良いのですが、、、

ちなみにHowardさん、今度の分生(11月、だいぶ先ですが)来日されます。塩見の美喜子さん主催のシンポです。

休憩時間は、長年のファンであったAnton Wutzさんとついにお話をすることが出来ました。髭もじゃらで、ダーウィンかっっ、と突っ込みを入れたくなるような容貌をされていましたが、Xist愛!という感じがひしひしと伝わってきて感動です。ちなみに、ものすごくローカルな話ですが、Xistの染色体局在を制御しているhnRNP U/SAF-Aというタンパク質は、抗体染色してもXiが強く染まるわけではありません。ところが、蛍光タンパク質との-fusionを作ると、Xiが特に強くそまるようになります。というか、染まるという論文があります。しかしながら、これが自前でやっても再現できない。何でなんですか?と質問したら、「リンカーとかなんとかのちがいと、おもうだろ、ん?それがちがうんだこれが。わかる?ん?クロンテックだったかな、なんかあるだろ、あのEGFPをつかっちゃだめなんだよ。うん。ストラタかなんかの、その蛍光蛋白使えばばっちりだぜ。本体のタンパク質じゃなくて、蛍光タンパク質の違いだなんて、全く思いもよらないよな。何でかって?わからんねえ、知らないねえ。いやわからんなあ。」と、しゃべるしゃべる。とっても親切に教えてくださいました。うーん。あの数々の素晴らしい論文はこの人が書いていたのか、、、イメージが壊れる瞬間。(なぜだか理由は分かりませんが)スラリとしていて寡黙で切れ者、ルパンの石川五右衛門のような人を想像していたので。とはいえ、良い方に壊れたといいますか、もっと秀才肌の方だと思って近づきがたく思っていたのですが、これからもっと色々気さくに聞けるような気がしました。

イメージが壊れると言えば、とんでもない勘違いをしておりまして。実は今回、共同研究でノックアウトマウスを送った研究者と初めて対面したのですが、完全に同姓同名の別の人と勘違いをしていて、男性だと思っていたら女性でした。うーむ。Google先生を信用しすぎると、とんでもないことになります。はい。こんなことで良いのだろうか。。。いけません。やっぱり、顔を合わせてのコミュニケーションは大事だなという当たり前のことを強く認識しました。

中川

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