February 18, 2014

能ある鷹は爪を隠してはたぶんいけない、、、はず

閑古鳥が鳴いているかと思ったら学生の皆様いろいろ領域会議の感想プラスα、いろいろ投稿があったようでありがとうございました。ん、サイトの管理人、、、は健夫さんです。はい。健夫さんに代わりましてお礼を。

唐突かもしれませんが、個人的に思うのですが、領域会議であったり、学会発表であったり、最近であったらブログであったり、メーリングリストもといSNSなりいろいろな形で、「見える」ようにすることはとても大切なことだと思います。秘伝のタレとか、門外不出とか、いろいろありますが、多くの場合、ろくなことはありません。高杉道場で長谷川平蔵が受け取った免許皆伝、秘伝の中身は、ただの白紙。それを盗み取ったかつての高杉道場の四天王のうちの長沼又兵衛と平蔵との再会やいかに、、、と池波小説の話をしてもしかたがないのですが。。

話をタイトルに戻しますと、今回の領域会議でも、その他のミーティングでも、常々思っているのですが、今の時代、能ある鷹は爪を隠してはいけない、のではないかと思います。何も語らず、圧巻のタイムラプスムービーで会場にいる数百人を黙らせることの出来る人は、いるにはいると思うのですが、それを理想にしてはいけないのではないかと。実は個人的には僕が最も敬愛する先輩研究者の一人にそういう方がおられるのですが、その方はあまりにも仙人すぎて、霞を食べて生きているという噂もあって(ウソです)、ただあまりにもお人柄もあたたかく、正反対の僕はその道でいけるはずはないと思いましたし、それは正しい選択だったと思っています。

また話はそれますが、僕はヘボ将棋しか指せませんが、将棋の世界で痛快なのは、羽生さんが有無を言わさず強いところです。羽生さんは感想戦で惜しみなく自分の読み筋を披露しているにもかかわらず、です。感想戦で出し惜しみをするというのは、我々の世界で言えばディスカッションでいちいち未発表のデーターのことを話さないとか、論文になるまで学会では発表しないとか、隣の研究室でも仕事の話をするなとか、そういうことで、多分そういう人の方が強かった時代もあったのだと思います。でも、今は、誰がなんと言おうと羽生さんが強い。だからこそ、自分の勝敗よりも(もちろんそれが一番大事なのだけれども)、真理の追究の魅力に取り付かれているかのように見える若手騎士がどんどん出てきている(様に見える)と思います。この流れは最近のコンピュータ将棋のヒッタイト顔負けの勃興によって、増々加速されているようにも思えます。コンピュータは読み筋を隠すことはありませんので。隠す人よりも隠さない人が絶対的に「強い」!!

研究の世界は玉が詰むといった分かりやすい勝負はありませんから、教師付き機械学習をすることは出来ません。ですので、成功体験も、失敗体験も、個人的な経験であって、これが良い、悪い、と、一概には言えないのが厄介です。隠す人が「強い」のかもしれませんし、そうでないのかもしれない。ただ、敵を見誤ることだけはしたくないと、思います。繰り返しになりますがラボの外の人と話をするなとか、これは論文になっていないから学会発表するなとか、iPS発表以前の山中さんのラボでなら影響があまりにも大きいのでなんとなくわかりますが、普通のラボがそれを真似するのは傲慢矢のごとし(ちょっとちがうか)です。

ですので、学生さんの皆さん。ポスドクの皆さん。能ある鷹は爪を多分隠してはいけないので、じゃんじゃん爪を見せてください。ディスカッションに参加してください。未発表のデータも話してください。もしボスにおこられたら僕が責任とりま、、、ってどうやって取るか分かりませんが、戦わなければいけない敵は空想上のcompetitorではなく、エネルギー問題とか高齢化問題とか食料問題とか、その辺にしておくのが一番平和なような気がします。例えばの話、特許っていうのは、100年後は今から見た士農工商ぐらい古くさいことなのかもしれませんし。なので、EndNoteが使えなくてもOSX Mavericks、好きです。ソースコード公開の思想ここに至れり。これが絶滅への序曲なのか繁栄への礎なのか分かりませんが、一つの文化だと思いますし、僕は個人的にその文化は大好きです。

中川

1 comment:

  1. 同意です。能あるし爪全開、が良いですよね。将棋といえば、「3月のライオン」という漫画がとても面白いです。

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