June 7, 2011

5th Tokyo RNA Club

来週の月曜日、知る人ぞ知る第五回Tokyo RNA Clubが開催されます。これまではずっと信濃町は慶応大学のガラス張りのセミナー室で行われてきましたが、今回は当新学術研究領域との共催でかなり大規模な会になるので、東大の弥生講堂一条ホールにて開催されます。既に方々からセミナーの案内が回ってきてチェーンメール化しているような気もしますが、詳細はこちら

この弥生講堂というのは檜の無垢材がふんだんに使われた大変瀟洒な建物で、ここって大学?とおもわず何処にいるのか分からなくなってしまうぐらいです。センスが無くて汚くて暗いのが大学の代名詞だった20年前とは隔世の感があります。新聞やテレビでは昔は良かった、今は閉塞感が満ちあふれ息苦しいとか言いますが、あーゆー暗くて汚い場所に戻りたいなら戻って下さい、僕は今の方がよっぽどマシだと思いますよ、と声を大にして言いたいものです。とはいえ自虐的な喜びを感じる人というのは世の中にはいるもので、暗くて汚い地下室で貧乏くさく引きこもってやるのが学問と信じて疑わない人々もいるから世の中面白いものです。そりゃ学問じゃなくて黒魔術でしょう、という気もしますが。

例によってだいぶ話がそれてしまいましたが、今回は新学術のテーマに沿ったnoncoding RNA (ncRNA) を中心としたTokyo RNA Clubになります。長鎖のncRNAの話題が6題、小さなRNAの話が13題。長鎖ncRNAはマイナーな分野ですので、簡単に海外のゲストの方の紹介をしておきます。

まず最初はArcha Foxさん。パラスペックルがらみでここに何回か名前を出しましたが、イギリスはダンディー大学、Lamondさんの研究室でポスドクをしているときに、核小体のプロテオミクスを勧めている過程で取れてきた複数のタンパク質が核内で共局在していることを見つけた、パラスペックルの発見者です。ラボのホームページはこちら
現在は旦那さんと共に西オーストラリア大学でラボを持っておられますが、ずっと継続してパラスペックルに局在するタンパク質、および骨格成分であるMENε/βの研究をしておられます。世代的にはまだ30半ば。特に若い学生さんやポスドクにとっては身近な存在に感じられるのではないでしょうか。京都のRNA meetingにも出られますので、学会に行かれる方はいろいろ人生相談など出来るかもしれません。個人的にArchaさんがスゴイなあとおもうのは、抗体染色のパターンを見て、これは新しい核内構造体に違いない、と信じて、解析を進めて行った、というところです。実際のところ、核を染色する抗体の多くは、べったりと染まるのではなく、ところどころに輝点が見えることが多いです。ただ、普通は、ああ、なんかざらざらそまっているなあ、ぐらいでほっておいてしまうような気がします。実際問題、現在パラスペックルマーカーと呼ばれている抗体の染色パターンを見ても、パラスペックルを知らない人にとっては、おそらくいきなり心臓がバクバクするようなものではありません。憧れの紺野美沙子さんを日比谷公園のチャリティーイベントで見かけたことがあるのですが、スタッフの間に紛れている間は意外と普通の人とかわらないのですよね。ところがいったん気づいてしまうと気になって仕方がない。こう、光り輝くオーラみたいなものがそこにあって、なんでさっきまで気がつかなかったのだろうと。Archaさんが発見した当時はパラスペックルは一部の愛好者のみぞしるマイナーな存在だったのが、いまやすっかり一流スターの仲間入りです。パラスペックルを有名にした仕事の全てに彼女が必ずしも名を連ねているわけではありませんが、最初にあの構造体に気づいた、その感性は、本当に凄いなあ、と思います。

もう一人の長鎖ncRNA関連の海外ゲスト、Jhumku Kohtzさんについては次回。

中川

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