December 1, 2013

分生で来日するRNA研究者たち(2)

引き続き理研シンポジウムの海外ゲストの紹介です。今回は、RNA関連のワークショップに呼ばれた、という訳ではないけれども、理研シンポジウムで話をされるスピーカーの方々の紹介です。

まずは、これまたYale大学のAntonio Giraldezさん。このかたも見た目すごく若そうですね。ラボホームページも現代的と言いますかなんといいますか、IT化(死語?)を前面に打ち出した昨年の分子生物学会のポスターを彷彿するデザインです。
2007年に徳島で開催された分子生物学会の春期シンポジウムでも来日されているようですが、今回の分子生物学会は、東大の武田さん主催の発生生物学関連のシンポジウムの招待講演者という事で来日されます。じゃあなぜRNA関連のミーティングに?ということになるわけですが、泊さんが海外のsmall RNA関連のシンポジウムで彼と会い、「ユキ、今度分生に行くんだよ。」「おーそうかいアントニオ。分生のあとにRNA関連ミーティングをするんだけど来る?」「それは楽しみだね。もちろん行くとも。」ということで参加決定!という運びになったそうです(注:会話の内容は勝手に作りました)。来日された研究者に対する最高のおもてなしは知的な刺激をどれだけ提供できるかにかかっていると思いますし、こういう形で何かのついでで来られた方を集め、よりコミュニケーションが密な小規模なミーティングを開催するというのは、素晴らしい試みなのではないかと思います。より少ない経費で国際会議が開催できる訳ですし。Antonioさん、いろいろな仕事をなされていますが、今回は、いわゆるmaternal-zygotic transitionー発生初期に母性由来のmRNAによる遺伝子発現からゲノム由来の遺伝子発現へと移行する現象ーにおけるNanogやらSoxB1やらOct4やらの転写因子の役割について話をされるようです。ん、この人、miRNAの人じゃなかったっけ、、、そうですよね。当新学術のメンバー三嶋さんの留学先ではないですか。2005年に、ゼブラフィッシュの初期発生で、Dicerの機能阻害による神経発生の異常がmiR-430というたった一つのmiRNAでレスキューされるという驚きの論文を筆頭著者で(しかもcorresponding authorで)書いた人じゃないですか。その後もmiRNAの中にはDicer非依存的にAgo2のスライサー活性でプロセシングされるものがあるということを発見したり、ribosome profilingの技術を駆使して、miRNAによる翻訳抑制はmRNAの分解よりも先に起きている事を示したり、良い仕事連発ですね。実はあまりこれまで仕事をフォローしていなかったのですが、Dicerの変異体でも発現量が変化しないmiRNAがある、という結果を得た後に、そのmiRNA(miR-451)の配列の特徴に注目し、これはAgo2のスライサー活性を使って作られているに違いないと思いつくその発想は、脱帽です。生化学のデータだけでなく、次世代シークエンサーの技術をうまい事組み合わせているところが最近のパワーの秘訣、という感じもします。その彼がどんな話をされるのか、、、楽しみであります。

次は、Ramesh Pillaiさん。うーむ、どこかで見た名前だなあ、誰だったけなあ、、、と幾ら思い出そうとしても思い出せない。と、こういう時に一番役に立つのはSpotlightですね。Macの検索機能はすごいです。はい。一瞬で、あ、そうだ、先日のRiboclubに来ていた人だ!という情報が引っかかってきました。しかし悲しいかな、顔を思い出せない。。。ネットの情報によれば、御写真はこちらです。
今回は、熊本大学の谷さんのところに長期滞在していて、これも泊さんの声がけでjoinしてくださる事になりました。ホームページの論文リストによれば、日本発生生物学会が刊行している国際学術雑誌DGD(Development Growth & Differentiation)のRNA特集号で、iCeMSの中馬さんと総説を書かれているではありませんか。そうか、そういうつながりでも、記憶に妙に引っかかっていた訳です。Riboclubの時は全然気付きませんでした。。。お仕事はpiRNA生成におけるTudor domainを持つタンパク質の役割、ということで、当新学術で言うと宮川さんのお仕事にだいぶ近いところですね。僕自身の仕事とは直接関連が深い訳ではありませんが、ゆるいつながりをたどるといろいろなところで知り合いにたどり着いたり、接点があったりするというのは面白いところです。まさに、It's a small world!です。

中川

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