September 15, 2011

第7回 Tokyo RNA Clubが開催されました

力のこもった宮田さんの投稿に続いて、もうひとり若手の会に参加した学生さんからのメッセージ、近日中に掲載予定です。

ちょっとその前に、、、

先日、東京は信濃町で第7回目のTokyo RNA Clubが開催されました。今回のホストはおなじみ慶応大学の塩見の春さん美喜子さん。お題は、侵略者への対抗策としての小さなRNA。ショウジョウバエでRNAサイレンシングがウイルスに対抗する「免疫」として働いているという一連の仕事をしてこられたUCSFのラウルさんのトークを皮切りに、農業生物資源研の吉川さん、名大の佐藤(豊)さん、川沿いの照英さん、いやUC RiversideのShou-weiさんたちが、背骨の無い生き物(含植物)でのRNAサイレンシングについて最新の持ちネタをいろいろ話してくださいました。小さなRNAの話は毎週のように新発見が相次ぎなかなかフォローしきれない、というか全くフォローしていないのが実情なのですが、たまにこのようにまとまった話を聞くと今更ながらそのアクティビティーの高さに驚いたり感心したり。長鎖のノンコーディングRNAもいつの日かそれだけでまとまった会が開かれれば、と常々思っていましたが、来る12月の分子生物学会で、埼玉医科大学のリッキー黒川さんが長鎖ノンコーディングRNAの話題に絞ったシンポジウムを開催されます。ドンキホーテの8階で応援していたアイドルがテレビデビューするのを見るというのは多分こういう気分なのだろうなあ、と、何となく思っているのですが、それは余談。

Tokyo RNA Clubは元々は塩見春さん美喜子さんの声かけで首都圏のRNA研究者が定期的に集まって親交を深めましょう、その中でなにかしらの文化が生まれれば良いですね、という趣旨で始まり、今のところ日本で開催される何らかの学会や研究会に来日された海外ゲストとの親睦会を兼ねた国内の若手研究者の登竜門、みたいな感じで回が重ねられているようです。一昔前は海外のゲストと本当の意味で膝を突き合わせて話をする機会などというのは良くて一年に一回、僕自身の大学院生活を振り返ってみても2、3回しかなかったような気がするのですが、このごろでは様々な催しで海外の一流研究者の息遣いを間近に感じられる機会が圧倒的に増えてきました。非常に素晴らしいことだと思うのですが、そのぶん希少価値は薄れてきてしまったという見方もあるのかもしれません。とはいえ、研究者同士の交流に希少価値という要素を持ち込むというのも変な話ではあります。

大変個人的な話で恐縮ですが僕自身思春期を男子校というかなり異常な環境で過ごしたので、大学に入って同じ生活空間に女性がいるというその状況、ただその状況に舞い上がって、今から思えば何をあんなに必死こいていたのだろうと思う無理をあちらこちらで重ねていたような気がします。NHKラジオのフランス語講座のテキストも、毎年購入していました。4月号だけですが。かわいいもんと言えばかわいいもんなのですが、全ての行動基準が、本来の目的をはずれているというのは、あまり健全な姿とは言えません。さすがに大学院に入る頃にはそのような状況には慣れてきましたが、今度は逆にサイエンスにおける欧米という、また別の希少価値が待っていました。

希少価値に対するときめきというのは非常に大きなモティベーションにはなりますが、それほど長く続くものではありません。物事が当たり前になってから何が出来るか、何をするか、というところが結局のところ一番大事なことであるような気がします。良い仕事をされている方々の「凄み」というのは、日常の中で当たり前のように高いモティベーションを持続して持っておられるところだと思います。大学院に進学することも珍しいことではなくなってきましたし、博士号を取るということも、それほど珍しいことではなくなってきました。海外の研究者とも、機会を求めさえすれば、国内に居ながらにしていろいろ接触できる時代にもなってきました。Skypeなんてものもありますし。technology greatです。分かりやすい刺激が無いということは、むしろ本当の意味で自分のやりたいことを見つめるための、最高のコンディションなのかもしれません。

中川

2 comments:

  1. 同じく個人的な話で恐縮ですが、わたしが大学の教養時代に第二外国語としてフランス語を選んだのは、おそらくそれが最も女の子と知り合えるチャンスが大きいだろうというありがちな理由でしたが、その洞察は正しかったと思います。Viva la vie!ってとこでしょうか。そんなくだらん理由で学問を選ぶなという友人もいましたが(ごもっともです)、人生においても戦略は大事だと思います。

    影山裕二/岡崎統合バイオ

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  2. 祭りが終わっても酔いから冷めても続けるほど好きなのかどうか、というのが、最終的に、特に仕事においては重要だと思っています。でも、下らん理由が新たな世界に踏み出す偉大なる原動力になったりするんですよね。人生、ということになると思いどおりに進んだらつまらないですし。しかし仕事はもう少しで良いから思い通りに進んでほしい。。。です。

    中川

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