September 16, 2013

若骨にむち打ち(4)環境をととのえる

いちおうUnix風のコマンドをターミナルで打つことができるようになり、といってもこれは要はアイコンをクリックしてファイルを開いたり、webページのリンク先をクリックしてダウンロードフォルダにファイルを入れたり、というだけの作業ですが、これまでものすごくハードルが高かった作業が、ユーザーフレンドリーなインターフェースではないというだけで全然複雑な事ではないという事が良くわかってきました(すくなくとも僕がやろうとしていること(メチル化リードのマッピング)のレベルにおいては)。これはインフォ音痴のベンチ屋おじさんにとっては大きな進歩。

さて、次は解析に必要なツール、アプリケーション、パッケージ、言い方はいろいろありますが要はプログラムをインストールしてゆく段です。このあたりは師匠のY本君に実は半年ぐらい前にやってもらっていたのですが、やはり解析するべきデータがないとなかなか自分でテストデータを使って練習、、、というモティベーションが湧きませんね。練習でもいいから実験して見たら?と学生さんやポスドクに言ってもなかなか腰を上げないという気持ちが良くわかりましたです。はい。

パッケージのインストールにはHomebrewというツールが便利との事。バイオ解析系に限りませんが世に出ているプログラムというのは単体で機能する訳ではなく、いくつかのプログラムを呼び出しながら解析がすすむらしいです。ですので、何かプログラムを実行したい時は、そのプログラムが必要としている別のプログラムもあらかじめインストールしておかなければいけない。Safari上で動画を見るためにはFlashのプラグインをあらかじめインストールしておかなければいけない、というような感じでしょうか。

そこで、マニュアルをきちんと読んで必要なパッケージを入れていけば良いのでしょうが、それがなかなか面倒くさい。冗談抜きにおじさんレベルではとてもムリ、ムリ。こういう品の悪い若者言葉を使うと奥さんは目くじらを立てて怒るのですが、平安時代の人から見たら昭和のNHKアナウンサーの言葉だってとんだヤンキー兄ちゃん姉ちゃんが使っていた言葉のようなものでしょうが、とかボソっと返せば倍返しで返し文句が、、、たいがい口ゲンカというのはこういうくだらない事から始まる訳ですが、おっと寄り道はしない約束です。必要なパッケージを探してきてきちんとインストールしてくれるとても便利なツールがHomebrew、ということらしいです。

そこでまずHomebrewのインストールですが、こいつをインストールする前にまたまたやる事があります。この準備期間の長さが、実験屋に取っては万里の長城のように横たわる壁ですね。App Storeに行って、Xcodeというアプリケーション(無料)をインストールします。開発環境を入れる訳です。なんか格好いい。これは普通のMacのOfficeなどのアプリケーションのインストールと感覚的には変わりません。ただ、インストールするだけではダメで、Preference>Downloads>Componentsの設定画面に移動して、Command Line Toolsをインストールします。これもただボタンをクリックするだけ。うーむ。やはりユーザーフレンドリーなインターフェースは偉大です。キット様々。やっぱりセシウムはやめてキアゲンにしようというのが良くわかります。

これで、いよいよHomebrewをインストールする準備ができました。すっかりおなじみになったターミナルのコマンドラインで、
$ruby -e "$(curl -fsSL https://raw.github.com/mxcl/homebrew/go)"
をコピペして打ち込みます。意味は、、、わかりません。まあ、このあたりは赤子が言葉を覚えるように、ただただまねして、ひたすら打っていけば、いつかは分かるに違いない。Homebrew install Macぐらいでググれば最新情報に行き着くので、うまく行かない時はきっとそこに素晴らしい解決策が書いてあります。そう、Googleは既に分かっている事に関しては何でも教えてくれる心強い味方です。Googleさえそばにあれば最強。Ponanzaを手にしたサトシンのようなものです。おっとまた横道に、、、

これでいつのまにかHomebrewがインストールされましたので、正常にインストールされたかの確認も込めて以下のコマンドを入れます。
$brew doctor(コンピュータの診断)
$brew update(アップデートがあれば勝手にインストールしてくれる)
$brew -v(これでバージョンが確認できる)
次々と流れるコマンドラインの画面。気分はすっかりベンチ屋からバイオインフォ屋です。なんか格好いい!

あとはツールをどんどん入れていくと。Y本師匠に入れるように推奨されたのはとりあえず以下の5つでした。
$brew install samtools
$brew install bedtools
$brew install bowtie
$brew install tophat
$brew install cufflinks

これで一通りの解析ができますよ、と。ただ、こちらにはメチル化リードのマッピングのプログラムが入っていません。困った時はググれカスということでGoogle先生に聞くと、どうやらBismarkというのが良いらしい。そこでBismarkでググっていろいろ調べると、当然宰相ビスマルクのwikiページも出てくる訳で、、、えっとビスマルクって誰だっけ、とか見始めるとこれがなかな面白い。ついつい脇道にそれていつの間にかYoutubeを見ている、、、いかんいかん。これだからコンピュータは魔性なのです。コンピュータに向かってる暇あったら実験せい!!!と怒鳴っていた方々の気持ち、いたいほど分かります。ちょっとは後ろ暗い事があるからですよね??僕はもう、後ろ暗い思いでいっぱいです。あー、なんでこうすぐ横道にそれてしまうのだろう。ただ、自宅でこういった作業が出来るというのは一つの救いではあります。インターネット偉大なり。

ともあれ、Bismarkのインストール。
本家ホームページがこちら
http://www.bioinformatics.babraham.ac.uk/projects/bismark/
実際のインストールの手順は次世代シークエンスデータ解析情報共有フォーラムのWikiが便利でした。
http://cell-innovation.nig.ac.jp/wiki/tiki-index.php?page=Bismark
ターミナルのコマンドラインに打ち込んでいきます。
$wget http://www.bioinformatics.bbsrc.ac.uk/projects/bismark/bismark_v0.5.4.tar.gz
$tar xvzf bismark_v0.5.4.tar.gz
これでBismarkのインストール完了。さて、次回はいよいよシーケンスデータのマッピングです。

中川

3 comments:

  1. すばらしい。現時点で、Mac上の(クリーンかつ必要十分な)解析環境を整えられる最も簡単な方法だと思います。(wgetもHomebrewで取ってこれるけど、そこは教育的配慮ということで。)

    領域会議で、みんなにMacを持ち寄ってもらって、勉強会の時間を設けましょうか。講師はもちろんY本くんで(司会ぐらいは僕がやります)。

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  2. お疲れ様です。

    brew install ...
    の前に
    brew tap homebrew/science
    をお忘れなく。
    R研Y本

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  3. そういや普通にやると見つからないみたいなエラーが出ていました。
    ぐちゃぐちゃいじっていたらインストールできるようになったのですが、Macのファインダーのcommand + Kでサーバに接続しようとしたらじつはターミナルにいたため、その時のログが全部消えてしまったのですorz
    Brew tapではない経路でも行けるのかもしれませんが、とりあえずこれが早そうですね。

    領域会議で簡単な勉強会、良いアイデアですね。Unixの基礎なら懇親会でビールを片手に、のほうがふさわしい気もしますが。。。

    中川

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