October 22, 2013

英語のレビュー(4)

すっかりこのブログの更新が滞っていました。これはなにも領域の研究者の方々が全く研究をしていないわけではなくて、研究に没頭しているからブログに近況をあげる暇がない!ということを背中で語っているに違いありません。ブログに書き込む暇があったら実験しろ!ブログ読む暇があったら皿洗え!てなもんです。そういう雰囲気が、実験系の研究室だと根強くありますね。僕も実際そう思います。はい。またこの時期は、科研費申請の〆切で全くもって首が回らない研究者の方々が多いのではないでしょうか。かくいう私めもこの2,3週間は実験停止状態でした。最近は少なくなりましたが、渾身の申請書を書き上げたと思ったら突然MacがフリーズしてOh my God!!>強制終了>再スタート>こまめにセーブしていなかったことが判明>荷物をまとめて旅に出たくなったことが何回あったことか。気分は、そう、電子レンジで加熱した突沸前の蒸留水です。ややこしい相談を10月にボスにもちかけるのはやめましょう。とんだとばっちりを食う可能性がありますから。

冗談はさておき、えらく時間が経ってしまいましたが、全回6月に投稿まで行った「英語のレビュー」の続き、です。どんだけ時間経ってるんだ、、、
ともあれ、当新学術影山班からのメッセージ「長鎖ノンコーディングRNAの研究にはもっと生化学的アプローチや遺伝学的アプローチを取り入れよう」を宣伝すべく、ノックダウンの際のoff-targetの問題やら、そもそもsiRNAを核内の長鎖ノンコーディングRNAに使って良いのかということやら、ノックダウンで見られたことはノックアウトマウスの表現型で見られませんよだとか、セレンディピティだけに頼っていてはダメでしょうとか、あれやこれや、泊さんや泊研のJuan君の助けを借りながら日頃もやもや思っていたころを書き連ねたレビューをBBA Gene Regulatory mechanismsに送って最初のレビューが帰ってきたところ、

「ちょっとネガティブすぎるんじゃない?」

というわけで、major revision。このあたりのバランスは難しいところで、実際投稿する前に共著者の影山さんからもさんざ指摘された点ではあるのですが、学術的な大論争を展開するのならともかく、テクニカルな細かい問題点に関して列記するのはレビュー論文にはそぐわない、と考えるレフリーも多いのかもしれません。じゃあどこでそういう情報を仕入れるのだ?ということになりますが、それは積極的にコミュニティの中で情報交換する、というのがやはり王道なのでしょう。というわけで、大幅に改訂して、再投稿中(今ココ)、です。

日本語のレビューですと、査読はあることはありますが(このへんちょっと書き直して下さいとか)、査読の結果落とされたという話は聞いたことがありませんし、そもそも内容に関して大幅な書き直しを迫られるということも少ないような気がします。英語のレビューの場合、このあたりの状況はだいぶ変わっていて、それほどレビューを書いた経験があるわけではないのですが、これはXXXのqualityに達していないのでリジェクト!!!というお厳しいコメントを食らったこともありました。さすがに招待レビューで本当にリジェクトをくらったことはありませんが、いずれもレフリーの方達がかなりきめ細やかなコメントをくれたのに感謝しています。レフリーに感謝します、なんて、普段のオリジナル論文ではなかなか抱いたことのない感情なんですが、、、いずれにせよ、同業者の意見を取り入れながら直すべき所は直してゆく、そいういう態度はサイエンスを進めていく上でとても大切ですし、自分が逆の立場になったら2,3日かけてじっくりコメントを返したいな(時間があれば)、と、思います。

ところで話は変わりますが、どの雑誌にもインパクトファクターというのがありまして、レビュー特集を組むとこれが魔法のように上がるのですね。たとえば、20本のレビュー論文が載った雑誌の特集があったとして、これこれに関してはこのissueのXXの総説を参照、と総ての論文を一回づつ相互引用すれば、ありゃ不思議、インパクトファクター20の雑誌が出来上がってしまいます。鼻くそみないなインパクトファクターですが、鼻くそなりに使い道はあるとは思うのですが、そういうことをみんながやり出すと、本当の鼻くそになってしまいます。インパクトファクター制度崩壊を目指すのならばそのほうが近道なのかもしれませんが、あまりセコいことを露骨にすると、それこそ信用の失墜につながりますね。かつて僕の師匠は「信用は得るのは時間がかかるけれども失うのは一瞬ですよ。」とおっしゃられました。こわっ。それを肝に銘じているつもりなのですが、なかなかこれが、、、

中川

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