皆さま、
高知大学の清澤です。
今年から公募班に参加させていただくことになりました。非コードRNAの研究を開始したのは、2000年頃、理研ゲノム科学総合研究センターでマウス遺伝子エンサイクロペディアプロジェクトに参加していたとき、タンパク質をコードしないcDNA配列の多さに興味を持ったのがきっかけです。
当時はまわりにそのようなものに興味をもっている人も少なかったため、非コードのうちでもアンチセンス鎖の転写と予測さるものに的を絞り解析を開始しました。また、まわりの人になかなか興味を持ってもらえなかったのは、実際のデータのうち、本当に「ジャンク」、もしくはartifactと思われるものも多かったのが理由かも知れません。
私自身は同時にゲノム刷り込みという現象にも興味をもっていたので、ゲノム刷り込みが見られる遺伝子座におけるアンチセンスRNAを調べていたところ、Ube3a遺伝子につきあたりました。更にUbe3a遺伝子は神経細胞特異的に母親由来のみの発現を示す組織特異的なゲノム刷り込み遺伝子であることを知り、その刷り込みが起きるメカニズムを解析したいと思い、in vitroの系をつくることを思い立ちました。遺伝的多型を有する亜種間雑種のES細胞を樹立したのが2005年頃で、共同研究ベースで神経細胞へ分化を試みたのですがなかなか129/sv由来のES細胞の様に神経細胞に分化せず、(常にこればかりやっていたわけではありませんが)再現性をもって分化させることが出来るようになるまで数年を要しました。
今回の研究申請ではこの神経細胞への分化系を用いて、アンチセンス/ncRNAの解析を行っていきたいと思っています。よろしくお願い致します。
清澤
たしかに清澤さんがアンチセンスの論文を出されたころは、lncRNAのことが好きだと言うだけで変人扱いされるような世の中だったような気がします。また色々教えて下さい。
ReplyDelete中川