June 5, 2012

金沢大学の堀家です


平成2223年度に引き続き,平成2425年度も公募班として本研究領域に参加させて頂きます金沢大学の堀家です。どうぞよろしくお願い致します。本ブログへの書き込みも随分ご無沙汰しております(中川さん,すいません。でも,中川さんのブログ,いつも楽しく拝見しています。)が,常日頃思うことを徒然なるままに書きます。
私たちは,一貫してゲノム刷り込み現象におけるlncRNAの機能解析を行ってきました。古くは,LIT1の解析に始まり,最近ではUBE3A-ATSMESTIT1などなど・・・。しかし,なかなかその実体がつかめないで苦労しております。
現在までに,100近くのゲノム刷り込み遺伝子が同定され,多くの場合,染色体上にクラスターを形成していることが知られています。そして,その多くの領域でlncRNAが同定されており,染色体ドメインレベルの遺伝子発現やクロマチン構築に関わっていることが示唆されておりますが,そもそもなぜ,ゲノム刷り込みクラスターの発現制御にlncRNAが必要なのか疑問です!lncRNAなど無くても,すべての刷り込み遺伝子が生殖系列で各々印付け(インプリント)すれば単純でいいのに,インプリントセンター(IC)のみにインプリントの印付けがされ,それに伴ってlncRNAがその周囲の遺伝子の刷り込み状態を規定するといった複雑なシステムを哺乳類は持っております。ゲノム刷り込みにおけるlncRNAの存在意義はどこにあるのか?その一つの答えになるか分かりませんが,同一染色体ドメインに母性発現遺伝子と父性発現遺伝子が混在する状態を作り出しているのは,親アレル特異的に発現するlncRNAがリプレッサーとしてcisに周囲の遺伝子発現を制御しているからでしょう。ゲノム刷り込み現象を考える上で,よく「母親ゲノムと父親ゲノムのバトル」といった表現がなされますが,その喧嘩の主原因をつくったのは間違いなくlncRNAです。古くは,発現することに意味があるといわれたlncRNAですが,現在ではlncRNA自身に何らかの機能があると考えられるようになりました。私たちも,いつかlncRNAに“コード”された機能を明らかにし,進化の上で哺乳類がゲノム刷り込み制御にlncRNAを用いた意味を知りたいと思う今日この頃です。

2 comments:

  1. このブログの管理人、、、それは鈴木(たけお)さん。そう、これはたけおさんのブログなのです。そしてAnonymousでコメントするとコメントが消えてしまい、どうしたら良いのかと途方に暮れてtestとコメントしたら、つけられました。都市伝説また一つ。

    本題で、lncRNAとゲノム刷り込みはこの業界で最もホットな分野ですよね。僕もこれまで傍観者を決め込んでいましたが、そろそろ本気で取り組まなくてはいけないのかな、と思い始めています。またいろいろ教えてください。

    中川

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