はじめまして。ミーティングレポートを書いてみる?とのご提案を、1日目のレセプションで中川先生からいただき、のこのことやってまいりました。理研CDB中山研の石田と申します。いつかこのブログがブログ本になるときに邪魔になるといけない…と躊躇しつつ、書き込みます。駄文長文、お許しくださいませ。
今回のCDB RNA Meetingの幕開けは、山本正幸先生によるKeynote Lectureでした。違う分野のCDBメンバーの中にも是非聞きに行きたいと言う人が多かったLecture。山本先生が現在進めておられる研究課題の中で、2つのRNA結合タンパク質(Mei2 & Mmi1)によって体細胞分裂と減数分裂の遺伝子発現パターンの違いが生み出されることを中心にお話しされました。core/augmenting
DSR (determinat of selective removal) のコピー数がMmi1による認識を調節していることを聞き、「生物って単純にすごいことやってんねやなぁ、やっぱり。」と変なところで妙な感心。私を含めた参加者全員にとって、熱い議論が繰り広げられる目眩くRNA Worldへの誘いとなるLectureでした。
Session
願わくは全ての発表についてレポートしたいのですが…今更私が長々と書く必要はないか…というわけで、各日お一方ずつ私の心に残ったことを書かせて頂きます。(1日目のレポートではなくなってしまい申し訳ありません>中川先生)
1日目:Dr. Reini Luco
美人さん!!(☆_☆)ではなくて。去年のReviewを読んでいなかったら、おそらく付いていけなかったです(本当は付いていけてないかもですが)。クロマチン構造やヒストン修飾による選択的スプライシングのエピジェティックな調節機構の中で、FGFR2のanti sense-lncRNAの細胞分化における機能についてお話しされました。このasFGFR2が結合するSuz12はANRILとも結合しているよなぁ…と思っていましたら、望月一史先生のご質問に対する答えで、他のlncRNAとの関わりはまだ不明ということでしたので、気になるところです。
2日目:戸田達史先生
『歌う生物学』の本川達雄博士を彷彿させる『Time to Say
Good-Bye』の1フレーズとそれに続けられた言葉。会場に笑いを起こさせただけではなく、私はちょっと感動してしまいました。戸田先生はFCMDの患者さんのご家族の間でも有名で、その先生がおっしゃるからこその重み、でしょうか。FCMD原因遺伝子フクチンの3’UTRにSVAというレトロトランスポゾンが挿入されることで起こる異常なmRNAスプライシングがFCMDの原因だというお話でした。臨床のお医者さんとして患者さんに向き合われているからこその視点で、創薬・治療を視野に入れた研究の重要性と面白さと難しさを感じました。AEDセラピーの実現や、ピカチュリンなど筋ジス発症に関わる他の因子との関与等、興味は尽きません。
3日目:鈴木敦先生
マウスの生殖細胞の分化におけるNANOS2とCCR4-NOTによるRNAのP-bodyへの輸送と分解機構について、Dnd1が生殖細胞特異的に存在してNANOS2と一緒にRNAに結合して標的RNAの分解に関わっているというお話でした。ストーリーもさることながら、スライドもとても綺麗でわかりやすく、今後の参考にさせていただこうと思いました。私のボスにもよく注意されるのですが、論理的、かつ一般性を持たせたわかりやすい説明とスライドを作ることができるようになることは、私の大きな課題の1つです。
Poster
PI、PD、学生問わず、全てのポスターの前で活発な議論が繰り広げられていました。泊研のいわさきさんの流暢な英語による情熱的な発表に圧倒され、稲田研の坪井さんがこれまでのお仕事を纏められ新たなお仕事を始められていることに焦りつつ…。私もポスター発表をさせていただき、望月先生をはじめとする見に来ていただいた方に、5年間の仕事がようやくまとまったことを報告することができました。また、幸いなことに、私の研究課題について山本正幸先生とお話しする機会を得、鋭いご意見をいただくことが出来ました。いつも思いますが、自分が面白いと思って進めてきた研究に対して、第一線で活躍する研究者の方々に興味を持っていただけることは、下っ端(cf. 長谷川優子さんの投稿)にとってはこの上ない励ましになります!
つぶやき
コーヒーブレイクやレセプションで会場をぼんやりと見渡していると、ncRNAの海(分野)にたくさんの島(研究グループ)があって、その間をたくさんの舟(研究者)が行き来しているように見えました。そして、この海には、まだまだたくさんの未発見の魚(ncRNA)が泳いでいて、たくさんの舟がその漁(探索・研究)をしている様も目に浮かびました。そして、ゆいのちゃんの笑顔が束の間のオアシスのようでした。
M1でRNA Worldに恐る恐る足を踏み入れてから5年。今回が学生&独身として参加するおそらく最後の大きな学会でしたが、やはり私は、実験して、その結果を議論することが好きなんだと改めて思いました。(知識も技術も、そして読む人にアピールできる論文を書く能力もまだまだ身に付けられていないですが。)Maurice &
Katia Krafft夫妻のような「人生も研究もcrazy」という生き方は私には出来そうにありません。が、どの海に舟をこぎ出すことになっても、漁にだけはcrazyでありたいと思います。
最後に
吉本新喜劇の安尾信乃助の初回入場時のお約束ギャグ的な質問の仕方で(つまり語尾が上がらない..)、何だか意図のよくわからない内容の質問をしたにも関わらず、意図を酌んで優しく真剣に返答してくださった塩見美喜子先生と中川先生に感謝しつつ、筆を置かせていただきます。
理研CDBクロマチン動態研究チームRA・関西学院大学大学院理工学研究科D4
石田 真由美
レポートありがとうございます。島の間を行き来する、というのは素敵な例えですね。
ReplyDelete学生のころ眩しい思いで眺めていた人たちの年齢にとっくになってしまったことを思うと我が身のつたなさに愕然としますが、諦めずにしぶとく努力を続けていけば少しづつは進歩できるのではないかと。僕自身も学生のころはろくに質問できませんでしたし、留学から帰ってきてからもしばらくは、あー、うー、とボノボ並みでした。普通に質問が出来るようになってきたのはここ数年です。諦めなければ限界は訪れないと、信じたいものです。
中川