分子生物学会のシンポジウムはおかげさまで盛況のうちに終了することが出来ました。
長鎖ノンコーディングRNAがらみのシンポジウムは最終日の午後だったこともあり、どれぐらい人が集まるか心配だったのですが、予想外、のたくさん方々に足を運んでいただいて、正直ビックリしました。特に海外スピーカーの方のネームバリューというのがかなり大きかったのかなと思いますが、生マティックさん見れると思ってきたのにいないじゃねーかよー、別枠すっぽかしてきたのにどーしてくれんだよー、という不満の声もちらほらと聞こえてきましたが、Mattick研のバイオインフォを一手に行き受けてきたDingerさんが来てくれたということで、ご勘弁を。実際、レビューばっかり書いているけどあの人誰?、という失礼な印象をもたれがちなMattickさんのところからばんばんオリジナル論文が出始めたのは、彼が加入してからのような気がします。
リッキー黒川さんがいみじくも最後の締めでまとめておられましたが、長鎖ノンコーディングRNAの面白い特色の一つは、様々なバックグラウンドを持った人たちが集まってきてああでもないこうでもない、とやっているところのような気がします。ちなみに学会のシンポジウムのclosing remarkというのはほとんどの場合わらわらと席を立つ人が多く、なんとも落ち着かない雰囲気になるのが常なのですが、さすがは黒川さん。骨太の締めの言葉にほとんどの人が耳を傾けてました。このあたりの貫禄というのはなかなか身につけようと思っても身につかないですね。
様々なバックグラウンドは全くその通りで、それぞれの人にこの分野に入ったきっかけというのをお伺いして、結構興味深かったです。Dingerさんは、なんと古細菌の生化学がオリジン。全然バイオインフォじゃありません。ニュージーランド出身の彼は、大学院時代は地元の海の鉱泉にすまう古細菌の研究をしていて、進化に興味があって、おとなりはオーストラリアのMattick研に飛び込んだとか。Mattickさんはイントロンの研究をしていて、イントロンが捨てられてしまう、というのが気に食わなかったとか。それでタンパク質をコードしない領域に目が向いていったそうです。Kanduriさんはクロマチンの研究。太田さんはDNA修復。黒川さんは転写。廣瀬さんはじつはいろいろ隠れた過去が、、、あるわけではありませんがRNAプロセシングのin vitroの系の研究。僕はニワトリ屋。そもそも研究分野としてもかなり新しいのでまったくもってその道の専門家、というのは居ないわけですし、だれでもそこに飛び込んでいけるというのが魅力の一つなのかな、という気もしています。誰も母国語を話していない国で研究している感じです。
とはいえ、これからはノンコーディングRNAネイティブ、の人たちがどんどん入ってくるのでしょう。個人的には、John RInnさんやHoward Changさんたちは、ncRNAネイティブ、というような気がします。古くさい常識にとらわれないあたり特に。若い学生さんたちの中にもすくすくと人材が育っていっていると思います。あと10年ぐらいしたら、すっかりncRNAネイティブの人たちの時代になっているのかもしれません。
中川
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