RNA若手の会(RNAフロンティアミーティング)が開催されました。今回の世話人は熊本大学の谷研の井出上さん。会場は、今夏、大雨で堤防が決壊寸前まで行って自衛隊まで出動した熊本市内は白川のほとりのホテル、レオパレスメルパルク熊本。井出上さんの指揮の下一糸乱れぬ統率のとれた谷研のスタッフの学生さんによる見事な運営。いつもながらに繰り広げられる活発なディスカッションとコミュニケーション。徹夜をものともせぬ若い人々(とnearlyおっさんの人々)のパワーに改めて感心させられるとともに、核内構造研究の大先輩、谷さんの研究ヒストリーの格調高い話もじっくりと伺う事が出来て、個人的には大変有意義な3日間を過ごす事が出来ました。この会は本新学術領域も共催だったことですし、最優秀プレゼンテーション賞を取った3人の学生さんに、改めて詳しくミーティングレポートをこのブログにアップロードしていただく予定です。
この若手の会、「フロンティアミーティング」のGod Fatherは神戸大学の井上さんです。「『若手の会』だと参加費を申請しても事務の人がお金を出してくれないんですよー。」とかいう、全くもって不条理なbureaucraticな対応に悩んでいる、という声がチラホラ聞かれ、それはいかん、実態を反映したネーミングはないものかと、若手の会の創始者井上さんがつけてくださったのがこの名称。5年目を経て、だいぶん定着してきたような気がします。
この会に参加していつも思うのは、そこんじょこらの下手な学会よりはレベルも高く内容も面白い、ということです。発表者の多くはM1とかM2とかなので一歩間違えば、ぼくたちわたしたち、発表してみましたー、のような学芸会になってしまう危うさもなきにしもあらずだと思うのですが、少なくともこれまでそのようなナメた発表に出会った事はありません。むしろ、え?このひと4回生???とか、この堂々たる不遜な態度はポスドクかと思ったらまだ修士の学生さん???という驚きの方が多い。昔、清原と桑田を擁していたPL学園と(当時はダメダメだった)阪神が戦ったらプロが負けるんちゃうか、なんていう話がありましたが、分子生物学会のヘタクソな(準備不足な)PIの発表よりもよっぽど面白いトークがずらり、というのはすごい事だと思います。たまに落球やトンネルなどのエラーもありますが、それは愛嬌。
研究は、多くの場合、はじめのところが一番ワクワクしますし、ちょっと謎が残っているぐらいのほうが想像力が掻き立てられて気分的には高揚するものです。論文にしても、投稿当初、第一稿が一番ピカピカしているのに、レビューアの要求する追加実験を繰り返していくうちにだらだら冗長になっていき、最後はeditorialな字数制限でごそっと、削らされてボロボロになる、という、サルになってしまったキリストのフレスコ画のような変遷をたどる事も少なくありません。ただ、その一方で、きちんと仕事を完成させるためには膨大な努力を必要とする地道な検証を粘り強く積み重ねてゆく事が必要であるというのもまた事実で、最初の興奮をまとめる事にばかり目がいって一見するとアホらしい検証を怠ってしまうと、思わぬところで足下をすくわれてしまうものです。
ともあれ、研究の面白さというのは出会って最初の頃のときめき、そこにあるのは間違いありません。キラキラと目を輝かせている若い人に負けないようにプロの意地を見せなければ。
中川
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