December 31, 2012

第9回 Tokyo RNA Club 参加レポート

東京大学工学部鈴木研究室所属、修士1年の八代と申します。

先日、産業技術総合研究所、臨海副都心センターにて行われました「Tokyo RNA Club The 11th meeting」へ参加させていただきました。その際に感じたことなどを稚拙ながらまとめて、レポートとさせていただきたいと思います。

全体としては会場からのきれいな夜景と、発表や質疑応答する会場の方々の熱心な姿が強く印象に残っています。
発表の内容は、翻訳の制御やスプライシングなどの機構に関するもので、タンパク質の発現を操るための機構というのは細胞に沢山あって、ncRNA含めRNA分子という視点はそれと密接に関連しているのかな…(と、今内容の復習をしながら漠然と)思いました。

個人的には、プロの研究者の方々の発表を聴く機会は多くなく貴重な機会ですが、実験と結果を追う事に精一杯になってしまいつい頭の中が辞書的になりがちであったことが、思い返すと反省されます。日頃からもっと勉強したり考える工夫をしたりしていれば、研究を行った人が実際にその発表をしているという場で、より立体的に感じ興奮することが出来るのではないだろうか…などと想像して楽しみにしながら、これからも日々努力したいです。またこういったモチベーションを得る機会のあることに本当に感謝したいと思います。

八代


はじめまして、東京大学工学部鈴木研究室M1の平田と申します。(同期の八代さんにまき込まれ)先日のTokyo RNA clubの感想を書かせていただきます。
と言いましても、実験の都合で実際に聞くことができたのはコーヒーブレイク後の2題だけですし、時間も空いてしまい細かいところまで思い出せないため、発表に対する感想というよりはミーティング後に薄ぼんやりと考えたことを書くことにします。

端的にいえば、英語!!!ですね。この世界で生きていくには、やはり英語が話せないというのは不利、どころか致命的なんだなーと感じました。
正直に言いますと、今回聞いていてもよくわからないところが結構ありました。発表も質問もそれに対する回答もすべて英語。英語が話せなければあの中に入っていくこともできないんだと愕然としました。
自分があんな風に英語でディスカッションしている姿なんて今のところ想像もできませんが、できれば世界はずっと広がるでしょうし、なにより将来に関していろいろと決めかねている現状で、英語ができないという点だけで道を狭めたくはありません。
年末年始を利用して、実家でぬくぬく考えてみようかとか思っています。

少し論点のずれた感想ではありましたが、これにて終わらせていただきます。
またこのような機会がありましたらぜひお邪魔させていただきたいです。今度は懇親会にも。。

平田

December 23, 2012

お金があるのに使えない

大学や研究所で研究をしていると、お金があるのに使えないという状況に良く遭遇します。有名なのは年度末の使用制限。ひどい場合は12月までに、多くの場合は1月までに使い切ってくださいというお達しが来ます。はいはいわかりました、と、何かを買った事にして、業者に預け金としてプールする、というのが、前世紀の悪習であったのではないでしょうか。変なルールに悪い慣習、これがセットでなんとか回っていたと。「越後屋、お前もワルよのー」みたいな世界です。

でも、自然に考えれば、不正経理も無くして、変なルールも変えれば、それこそ何の問題も無い訳です。昨今では不正経理に関する罰則も厳しくなりましたし、研究者サイドも努力して不正経理はやめようと言う流れになっていると思います。誰だって後ろめたい事はしたくありませんし、建前と実体が離れているのは気持ちの悪いものです。

あとは変なルールさえ変わってくれれば、、と常々思っていたのですが、総務省の方から、パブリックコメントを募集しているようです。リンクはこちら

・1月中に使い切れと言われていて、研究計画の実施に支障が出ている。
・学会発表の出張のついでに自費で共同研究者の研究室を訪問しようとしたら、学会発表とは用務が違うという理由で帰りの飛行機代も自費で払うように言われた。
・二つの科研費に密接に関わるプロジェクトの成果発表をするために出張費を合算で請求しようとしたが出来なかった。
・ネットショップで見つけた最安値の業者に発注してくれと契約課に頼んだけれども、指定業者でないからそれは出来ないと言われた。

みたいな例はたくさんあると思います。実際に困った事がある方は、コメントを寄せれば、変なルールが無くなってくれるかもしれません。逆に言えば、こういう機会に声を上げなければ、あ、そう、別に困っていないのね、ということになってしまうかもしれません。

お役所からこういうアクションがあるのを見ていると、世の中は、動いているな、というのを感じます。

中川

December 20, 2012

最近の若いもんは

「最近の若いもんは」、というのはメソポタミアの時代からある決まり文句で、熱意が無い、夢が無い、視野が狭い、努力が足りない、遊びも足りない、、、、、(以下略)の枕詞としてはおそらく最古の歴史を誇っていると思います。なにせ文明の始まりとともに生まれた言葉ですから、いくばくかの真実を含んでいるに違いなく、もしかすると人は年をとればとるほど夢が広がって(人によってはありそうな話です)、視野が広くなって(これはそうかもしれません)、努力をするようになって(そういう人も中には、、)、先輩へ敬意を示すようになって(先輩はもう鬼籍に入っているかもしれませんが)、遊ぶようになって(それはそうかも)、、、ということなのかもしれません。何だそうだったのか。納得。

冗談はさておき、「若い人」がとかく話題になりがちなのは、期待の裏返しであることは間違いありません。とんだおせっかい、という気もしますが、お節介には負けん気で対抗するのも大事なような気がします。僕が学生時代のころを振り返ってみると、独特の皮肉で学生の自尊心をチクッと刺激することにかけては一級品だった某Y御大の授業でだいぶこれをやられ、何クソとムキになって勉強したのをよく覚えています。
「君らは大学が勉強をするところとか思っていないんでしょ」
「まあ最近は大学が研究をするところでもなくなってきてるかも知れないしね」
「君らんなかで必須アミノ酸の構造式かけるひとなんているのかね」
「最近の学生は質問しないからね」
「、、、」
10分に一回ぐらいこれですから。毎週金曜日の2コマ目(だったかな)のあとはアドレナリン全開です。あまりにムカムカしてきて気持ちを静めるために授業が終わるやいなや大文字山を駆け上がって頭を冷やしたこともあった、、、いやこれは大げさか。

期待されているうちが華とは良く言ったもので、中堅の研究者になるとデフォルトでは注目度ゼロになってしまいますから、そういう意味では文句を言われようが何しようが、気にかけてもらえるのは若者の特権であるような気がします。

分子生物学会でも、その後のTokyo RNA Clubでもたくさんの若い人を見かけました。若い人にはある日突然人生が変わるような出会いやチャンスがたくさんあるはずです。そのチャンスを絶対に逃さない、という気持ちで日々頑張りたいものです。僕もまだ若い、、、つもりですので。

中川

December 12, 2012

ゴッドファーザー


おかげさまで無事にエピジェネティックスのシンポジウムが終わりました。

無事に???

果たして無事だったのかどうか分かりませんが、開始五分前になっても最初の講演者の笹井さんが現れなかったり(直前のランチョンセミナーで話されていたのです)、笹井さんの話の途中に「現在予備電源で稼働しています」という警告が出てスタッフ大慌てになったり(それでも瞬時に対応をされて何も無かったかのように話を続けておられた笹井さんはさすがです)、プログラムを良く見たら5分と伝えていた僕のイントロがなぜか40分もあることになっていたり(日程表の最終チェックが甘かったです。他会場と往復されていた方々には大変ご迷惑をおかけしました)、Cremerさんだとおもって握手したらSolterさんだったり、、、

いつもいつも、もっとしっかり準備しようと思いながら、なにかしら抜けていて反省する事しきりなのですが、あこがれのCremerさんの話もじっくり聞けたし、個人的にはとても楽しむ事が出来ました。あこがれなのに顔を知らなかったのか、というツッコミはおいておいてください。論文には顔写真はのっていませんから。

シンポジウムの後での打ち上げには泊さんたちのワークショップのゲストも合流して、海外ゲスト6人。たぶん彼らは絶対に二度と行く事が無いような普通の居酒屋に行ったのですが、全ての海外ゲストがnon-USAであることにふと気づきました。良く思うのですが、英語がネイティブの人と話をしていると、英語は聞き取りやすいし、向こうがこちらの意をくんでくれたりしてなんだかとても話しやすいのですが、非英語圏の方々と話をするときは、なかなかそうはいきません。ともすると半分も聞き取れませんし、僕が言いたい事も1、2割しか伝わっていないと思うのですが、実に不思議な事に、会話自体はネイティブの人と話しているのと同じぐらい(もしかするとそれ以上に)成り立っていることが多いような気がします。お互い言葉に詰まりながら、手探りで一つ一つ会話を紡いでゆく。話をしたい人と話が出来る。普通だったら絶対に話が出来ない人と話が出来る。学会というのはやはり良いものだなあとつくづく思いました。

ホテルに帰る道すがらCremerさんに、そういえばCremer&Cremerの論文があるみたいですがあれは、、、と聞いてみたところ。

「そうそう、あれは僕のBrotherでね。サイエンスはファミリービジネスでね。両親も研究者でね。でも分野は違うんだけどね。ファミリーって言ってもマフィアじゃないけどね。はっはっ。」

とのことでした。心の中でそっとゴッドファーザー、とささやいて、お分かれいたしました。

中川