December 4, 2013

分生のRNA関連セッションのどろなわ紹介(4)

おっとっと。とんでもない見落としが、、、今日、12月4日の午前中のワークショップで、埼玉医大の井上さん、東京医科歯科の浅原さんのワークショップがありました。浅原さん、公募班員です。紹介してくださいーい。

といって、ほとんどもう手遅れの時間になってしまっていますが、

2AW9 RNAの包括的解析による細胞制御機構と疾患病態の解明
第9会場 神戸国際会議場5階
塩見研でのマーモセット(?)の生殖組織のsmall RNAの解析や、先日のRNA学会で高次生命機能のセッションの座長をつとめられていた北大の飯笹さんのRNA編集の話、公募班員の秋光さんによるBRIC-Seqの話(この仕事は大変素晴らしいです)。うーん。当新学術のメンバーの皆さん、大活躍ですね。トークがある時は、リアルタイムで活動を紹介するためにもこちらのブログで宣伝を御願いしますっう!!
おっと飛行機が、、、

、、、行ってしまった…

一番楽しみにしていたセッションを逃してしまった…

つくづく人生というのは反省の連続ということを痛感させられる乗り遅れでありますが、泣きたいのを我慢して、残りのRNA関連のセッションの紹介を粛々と続けます。3日目の午後のセッションから。(ううう、それでも泣きたい)。

3PS7 大規模生物学のインパクト:FANTOMとENCODE
第7会場  神戸国際会議場 3階
こちらは理研の鈴木さんとピエロさんの冠シンポジウム。日本人より日本人らしいシニョーレ、ピエロさん。林崎さんのもとでFANTOMプロジェクトに関わり、トレハロースを入れると高温でも逆転写酵素が失活せず、常識を遥かに超えた高温条件の反応でcDNAクローン合成の最長不倒距離を次々と更新したのはまさに彼です。なんでトレハロースを入れようと思ったのか昔聞いてみた事があるのですが、当時、プローブをランダムラベルする際に使うキットでReady to Goだかなんだったか、そういうのがあって、絶対実験をしてそうにないイケメンがニヤリとしながら白衣のポケットからキットを出しているあまりにも怪しげな広告に僕はドン引きして到底使う気にならなかったのを良く覚えているのですが、通常−20度保存する酵素を室温で安定化させるために入っていたのがトレハロース。その事実を彼は知っていて、じゃあトレハロースを逆転写反応に入れてやろうか?という単純な発想だったそうです。少しでもラベルの効率を上げたい時に室温保存が利く酵素なんて使いたくない!とそのキットに見向きもしなかった僕とは大違いですね。ともあれ、このピエロさんのちょっとしたアイデアで、FANTOMプロジェクトはその他のESTプロジェクトとは大きく異なり、そのまま完全長としても使えるようなESTクローンががんがん取れた訳です。それから10年以上たち、大規模なトランスクリプトーム解析は次世代シークエンサーの急速な進歩もあり、配列情報だけでなく、ヒストン修飾や各種転写因子の結合等、様々な情報をゲノム上で統合して解析する時代となりました。ピエロさんからは、これまた彼の元で開発された転写開始点解析手法CAGEを駆使した、現在進行中のFANTOM5の紹介。引き続き、2002年にタイリングアレイでヒト染色体21番と22番染色体からの転写のアウトプットを解析し、FANTOMと並んでPervasive Transcriptionの概念作りに大いに貢献された元AffimetrixのThomas Gingerasさん。ご尊顔はこちらです。
現在はコールドスプリングハーバー研究所でENCODEプロジェクトを牽引されており、今回のトークはそのご紹介。このかたの話は一度だけしか聞いた事が無いのですが、理路整然としたプレゼンはもちろんのこと、質疑応答で、ノンコーディングRNAはいくつぐらいあるのか、転写レベルはどれぐらいなのか、ゲノムのどれぐらいが転写されているのか、というような質問に、まるでクイズ面白ゼミナールの鈴木健二アナウンサーのように(若い人は知らない?)、有効数字2桁か3桁の正確な値をばしばし出しながら淡々と答えていたのがとても印象的でした。ゲノムワイドな解析(死語?)を、本当に愛しておられるのでしょう。ちなみに、12月6日に横浜理研で彼の講演があります。関東地区の方で分生に行けなかった方はぜひ。案内はこちらです。


3PW11 クロマチンと核構造のインタープレーが織りなす生命現象
第11会場 神戸国際展示場2階
こちらはRNA関連、とはちょっと毛色が違いますが、核内のRNAと密接な関連を持つ核内構造とクロマチンに関するセッションで、九州大学の藤田雅俊さん、大阪大学の平岡泰さんのオーガナイズです。注目はかつて京大にいた頃にヘテロクロマチン形成にはRNA pol IIによる転写が必要=RNAが必要という驚きの発見をされた、現在北大の村上洋太さんのところの梶谷さんの発表。このヘテロクロマチン形成を制御するsiRNAは核内で漫然と合成されている訳ではなくて、なんと核膜近傍で転写と共役して合成されているそうです。むむむ。奥深い。ちなみに、かつてRNA network newsletterに掲載された村上さんのヘテロクロマチン関連RNA発見の面白エピソードはこちらからご覧になれます(16ページ)。その他、農資研の菅野達夫さんが、植物におけるRNAサイレンシング、siRNAとtasRNAの話をされるようです。

そしてついに4日目にたどり着きました!
4日目はRNAど真ん中のセッションというのはありませんが、面白そうなのがこちら。

4AW2 データベースを使い倒した新しい研究スタイルによる分子生物学
第2会場 ポートピアホテル地下1階
ワークショップのタイトルからして、一昔前だったら(今でも?)御偉い先生が顔をしかめて即企画却下!!とか怒られそうな先進的なタイトルですが、データーベス使い倒し。これは、あきらかにこれからの主流な流れになるのは間違いありません。僕らが学生の頃は実験生物学者にとってはNCBIのPubmedとBlastとGenbankがデータベースの全てと言ってしまっても過言でなかったと思いますが、今後、共有財産としてのデータベースの有効利用は、研究を効率よく進める上で、間違いなく重要なパートを占めてゆくに違いありません。
このワークショップではライフサイエンス統合データベースセンターの坊農さんのところの内藤さんから、統合遺伝子検索GGRNAの紹介があります。コンセプトは、データベースをGoogle化してしまえ!ということらしいです。以前、Gomafuの中にあるリピート配列UACUAACをググったらいきなりこれでもかというほどスプライシング関連のページが出てきてたまげた事がありましたが、とりあえずググってみてら、もとい、とりあえずググアールエヌエーってみたら何か分かった、ということが今後出てくるかもしれません。
それにしても、昨今はインフォ屋さんが引く手数多で、実験屋が過剰供給状態。時代の大きな流れというのを感じます。10年後には実験屋は絶滅危惧種になっていたりして。。。しかしそれは実験屋にとっての大きなチャンス到来!と言えるかもしれません。いつの時代になっても、生き物に直接触れるステップが、生物学の一番の基本であるのは間違いない事なので。サイエンスはやはり、座学だけではなりたちませんから。

このシリーズ、最後に、土曜日のRNA Sciences in Cell and Developmental Biology IIIで講演される、海外からの素敵なゲストの紹介でしめようと思います。いつのまにか分生で来日するRNA研究者たちと分生のRNA関連セッションのどろなわ紹介が統合されてしまいましたが、、、



中川

No comments:

Post a Comment