やるやる詐欺を自らカミングアウトして、とっくの昔に帰ってきていた次世代シークエンサーのデータをなんとかする宣言をしてみたのは良いのですが、なかなかこれが手強い。学生さんやポスドクに、あの実験どうなった?これやった?それ試してみないといかんのじゃないの?などとプレッシャー(?)をかけていたのがそのままそっくりブーメランで自分に帰ってきた気分です。よっしゃ今週中にはなんとかするぞと気合いを入れまくったのは良いものの、水曜日の晩になってまだ何も出来ていないという現実を目の前に、じっとりと額に脂汗。ああ、ひんやりとする夜風に吹かれて秋の虫の声が聞こえてくるこんなすずやかな晩に、秋の夜長の新潮文庫が似合いそうなこの晩に、なぜ-bash: XXXX: command not foundとかいう、おそらくものすごく基本的なミスと、格闘せねばならんのだ!おそらく、若い世代の方がちょっと上の世代の方にぎゃふんと言わせてやろうと思ったら、まずは新しい技術を若い力を持って吸収してしまうのが手っ取り早い。なんせ上の世代は老骨、せいぜいが若骨ですから。
このような状況は、かつてもあったのではないかと。僕自身は経験していませんが、分子生物学が世に出てきた時は、おそらく似たような雰囲気であったのではないかと、想像します。発生生物学を研究しているラボでなんで大腸菌を飼っているの?というのは、いまはハァ?というような問いですが、かつてはそれが実際に不思議な問いで、岡田節人先生の普及の名著「細胞の社会」でも、そのへんが触れられていたと思います。分子生物学という「ツール」の出現の前後を例え、僕の指導教官であったT市先生(まったく伏せ字にする意味なし)は、クローニング以前の時代をBCと読んでおられましたが(Before Cloning)、仕事セミナーでも、ADの時代の技術的な細かい事に関しては「僕、良くわからないから、、、」と、基本、別のスタッフの方々や先輩の院生任せ。細胞の顔を見た時や、ウエスタンのフィルムを見た時の斬鉄剣!は、分子生物学的技術のディスカッションでは、ついぞお目にかからずじまいでした。
ある意味、それが新しいテクノロジーとの正しいつきあい方なのかなという気もします。若い世代の方が適応力は遥かに高いですし、新しいものに対する吸収力も大きい。今更自分がしゃしゃり出てあれこれかき回すよりは、若い世代に全面的に任せる事で、学生を「育て」る事が出来る、という側面もあったのかもしれません。ただ、細かい技術的なところはともかく、分子生物学のツールの使い方、可能性、限界、に関しては、T先生は驚くほど鋭い直感で捉えられていたような気がします。うーむ。なんでだろう。
他人の才能をうらやんでも仕方がないので、僕自身が思うのは、これから間違いなく次世代シークセンサー、K岡君の言葉を借りれば今世代シークエンサーのデータを使う局面は増えてくるでしょうし、どんどんテクノロジー的には「キット化」されて行くようになると思います。つまり、ワンクリックで、自分の欲しいデータが出てくるようなプラットフォームが作られると。そのようなプラットフォームの可能性や限界を理解するというのはまず一義的に大事なのですが、そもそもそれ以前に、僕ら口癖のように言っていたではないですか。「キットに頼るな!!」「ミニプレップぐらい自分でしろ!!」「キアゲン使うな!セシウムだろセシウム!!」
というわけで、胸に手を当てて考えて、ものすごく手の込んだquantitative PCRとsubtraction PCRを組み合わせたsingle cell PCRやdifferential display、、、まではできなくても、ミニプレップぐらいは、やはりしてみようと。才能に恵まれた人はその手の事をやらなくても技術の限界や可能性は理解できるのかもしれないけれども、凡人が出来る事は、とにかくひたすらミニプレップ。そこから学ぶ事も大きいにちがいない。solution I, II, IIIぐらいは自分で作ってみようよと。
なんだか時間稼ぎみたいな文章になってしまいましたが、一応、bisulfite RNAseqのリードがマップできましたよ、という、報告です。エヘン。初歩の初歩ですが、こういう場でプレッシャーをかけなければ、一生何もせずに終わったに違いない。ポスドクや共同研究者任せで。別に自分でプログラムを作った訳でもないですし、ちょっとググれば誰でも出来る事だと思うのですが、というか、多分若い人に聞いたらググレカス!!とかいわれそうなことを聞きまくってなんとかここまでたどり着いたのですが、このようなミニプレップは、やはり現場にいる人間は一度は「実習」でやってみるべきなのかな、と思っています。若い人がどれだけ苦労しているのかというのもちょっぴり分かりますし、それは基本の基本でしょう、というところも分かるはずですし。
で、若骨がどういう下らんところではまっていたか。次回はその恥さらしを。
打倒K岡君!!(果てしなくー♪、冗談、冗談)。
もう涙目セプテンバーですね。僕を倒すのは結構簡単だと思います。。。
ReplyDeleteK岡
K岡君ぜひ暗躍暗躍してくださいな。
ReplyDeleteしかし海外でも「あまちゃん」見れるのですか。時代は変わりましたね。
中川
暗躍暗躍いいですね。
ReplyDeleteTV Japanというのがありまして、1チャンネルだけですけど、NHKと、流行りの番組はみることができます。あまちゃんも八重の桜もアンパンマンもなんでもありです。半沢直樹もそのうちやるのではないかと思います。
K岡