海外に限らず、ポスドク先を探す場合、大きく分けて自分で何らかの奨学金に応募して行く場合と、先方の研究室の人件費(ポスドク用経費)を当てにしてゆく場合の二つがあります。僕の知り合いはほとんど前者ですし、僕自身も実際そうでした。別にこれは奨学金とれたぜベイビーなどと中学生でもしないであろう自慢をしたい訳では全然なく、むしろ僕自身のことを振り返ってみれば、「ポスドク募集!!」という広告を出している研究室に飛び込むだけの勇気がなかった、ただそれだけのことのような気がします。往々にして、ポスドク募集をしているラボというのは、ポスドク候補の学生さんが見向きもしないラボなんですよね。っと、大失言かもしれませんが、数年前大々的にポスドク募集をしていた僕自身が言うのですから、一厘の真理ぐらいはあるでしょう。飛ぶ鳥を落とす勢いの研究室には、次々とポスドクに行きたいーっつ!!というラブレターが殺到し、山積みにされ、2、3週間興味を持たれずに放置されれば地層的にはオルドビス紀ぐらいまでいってしまうと聞き及んでいます。そういったラボには勿論ポスドクを雇用するに十分な予算がある訳ですが、その多くは、得体の知れぬ新人ではなく、奨学金を持ってきて研究していたけれどもその期限が切れてしまった、でもぜひうちで継続して研究してもらいたい、という人を雇用するために使われている、従ってポスドク募集のような広告をわざわざ出さない、というようなイメージがあります(まちがっていたらごめんなさい、というか例外多数あると思いますが)。ポスドク募集!!!のびっくりマークの数に応じてブラック度が増すと言いますか、ちょっとヤバそうな雰囲気を勝手に想像し、知らず知らずのうちに避けてしまうという心理効果が働くが故に、ポスドク募集!!!!!!という広告の出ている研究室にポスドクで行った知り合いがほとんど居ない、ということになっているのでしょう。
ポスドク募集!(n)の広告を出すラボというのは、然り而して、立ち上げてほやほやのラボが実に多い気がします。そこに行くというのは、ベンチャー企業に就職するのと似たところがあるのかもしれません。ハイリスク・ハイリターン。といけば良いのですが、ハイリスク・ノーリターンだったりして。っと、大失言かもしれませんが、数年前大々的にポスドク募集をしていた僕自身が言うのですから、二、三厘の真理ぐらいはあるでしょう(しつこい)。
誤解されないように最後に補足しますが、ポスドク募集!(n2)の広告を出しているラボは、切実に一緒に仕事をしてくれるメンバーを渇望しているのは事実だと思います。お金は寂しがりやだから金持ちは益々富むわけですし、ポスドクも寂しがりやだから大きなラボはますます膨張するのかもしれません。だからといって、小さなラボが面白くない訳では決して無い。とうちのラボの披露目をしている場合ではありませんが、興味がピタリと合うようならば、どんどんそういうところに飛び込んでいっても良いと思います。お金を自分で持っていこうが、先方のお金で雇用されることになろうが、ポスドク先で微分不可能な成長を遂げて脱皮しなければいけないのは変わらない訳ですから。
中川
今回の中川先生の投稿も、先日の河岡さんの投稿も、これからポスドク先を探す身として、大変勉強になりました。
ReplyDelete今後も、ためになる情報&アドバイスを、どうぞよろしくお願い致します!
宮田
付け加えるならば、「ポスドク募集!!!を出していないラボには、フェローシップを持っていないとダメだ」という訳では全く無いので(僕自身、最初はボスの研究費から雇ってもらっていました)、どこであれ自分が本当に興味があるラボには、かまわずがんがんコンタクトを取って自分を売り込むべきだと思います。埋もれて返事が来なければ、来るまでメールを出し続けてやる、ぐらいの勢いで。
ReplyDelete東大・分生研・泊
僕も返事がくるまでに何度メールしたことか、という感じです(僕もフェローシップなしです)。件名に工夫したりしていました。あるラボにインタビューにいったひとの話ですが、ラボメンバーに、「メールのリプライ、数週間待った」と言ったら、「それはすごい!数週間で返すなんて、ボスはよっぽどきみに興味があるんだね!」となったそうです。なんかそんなものらしいです。メールしすぎて煙たがられる、ということもないらしく、日本人的には理解することが難しいですが、遠慮してもしょうがないみたいです。上のようなことをリアルタイムで言ってくれる泊さんがそばにいたのは僕にとってラッキーでした。
ReplyDelete河岡
泊先生、河岡さん、アドバイスいただき、どうもありがとうございます!
ReplyDeleteそうですね、フェローシップが取れたら、採用が有利になるだろうとは思いますが、取れなくてもhesitateせずに、がんがんトライすべし!ということですね。参考にさせていただきます。
ところで河岡さん、メールの件名は、どのように工夫されていたのでしょうか。
宮田
あれれ、さっきポストしたつもりだったのに、できていなかったようです。アピール文を件名に1文書いてみたり、とかそんな感じです。フェローシップに関連してですが、向こうにいって強く感じたのは、「申請者がいままでどんなことをしてきたか」ということよりも、「申請者がこれから何をできそうか」ということをチェックされる、ということです。前者はいわばただの免許証で、それこそメール一通から、後者についてチェックされている感じがしました。そんなわけで、フェローシップの有無は本質的にはあまり関係ないのではないか、と思っています。(アメリカはいますごい不況らしいので、金銭面では関係あるのでしょうが、来てすぐにフェローシップをとれるなら、そこまでクリティカルじゃないですしね)
ReplyDelete河岡
私も、昨晩の投稿が消えていました。ショックです・・・。調子が悪いのでしょうか。。。
ReplyDeleteとりあえず、昨日の文章を思い出して、再投稿します。
色々と教えていただき、ありがとうございます!
確かに河岡さんのおっしゃるとおり、「申請者がこれから何をできそうか」ということの方が、採用する側にとって重要ですよね。参考になります。
また、”メールの件名にアピール文を入れる”というのも、確かに、採用する側の目に止まる確率を上げる、有効な方法だと思います。真似させていただきます!
河岡さんや泊先生の投稿を読んでわかりましたが、フェローシップの有無は、本質的に重要ではないのですね。私はたまに、「”フェローシップがないから”という理由でポスドク採用を断られた(おそらく金銭面の事情から)」という話を聞くので、漠然と、フェローシップがあると有利なのだろうと思っていました。
しかし皆さんが教えてくださったように、フェローシップの有無にかかわらず、「興味を持ったラボには、積極的にアプローチしていく!」ということが重要なのですね。私もそういう姿勢を心がけるように努力します。勉強になりました。
またアドバイス等がありましたら、どうぞよろしくお願い致します!
宮田
いつに無く盛り上がっていますね。約二名(?!)にとってタイムリーな話題だったのでしょうか。
ReplyDelete奨学金はあくまでも手段ですからね。順序で言うと、なんでここが好きになったの?というところが一番大事なわけですし。幸か不幸か困るぐらいのモテ期は経験しないまま大人になってしまったので良くわからないのですが、聞き及ぶところによれば、「わたしのどこがそんなに好きなの?」と不思議に思うぐらい四六時中言い寄られる人生の幸福な(あるいは不幸な)一時期を過ごす人も多いとか。滅多矢鱈言い寄られるのは想像するだけで迷惑ですね。ただ、恋愛は往々にして一方通行ですから、ポスドク先を見つけるというのは恋愛をするようなものでしょうから、向こうが迷惑だからといってめげていてはいけないのも事実です。
奨学金募集がでていようが、いまいが、奨学金を持っていようが、いまいが、本当にそこが好きなら、行きたいという気持ちが少しでもあるようならば、とりあえずコンタクトだけでもとってみる、そういうプロセスはとっても大事だと思います。
中川