BMB2010も無事に終わりました。今回はRNAそのまんまのワークショップが3つもあり、それ以外にもちょくちょくノンコーディング・コーディング問わずRNAがトピックスの中心に出てくる演題があるのを見るにつけ、多くの人が関心を持っている分野であることを改めて感じさせられます。やはり話題の中心はsmall RNAとエピジェネティックスまわり、ですが、長鎖ノンコーディング関連の話題もちらほらみられるようになってきたようです。ようやく序の口から序二段に上がってきたぐらいでしょうか。嬉しい限りです。
ところで、この化け物のように大きい分子生物学会というシロモノ、毎年毎年どの会場に行ったもんだか非常に迷います。興味を共有している人たちの輪の中に入っていた方が心地よいのは間違いないのでやはり一番自分の仕事に近いセッションを聞きに行きたくなりますが、RNA学会という機会もあるわけですし、わざわざパリやニューヨークに行っておでん屋に入るようなことをしなくても、という気がしなくもありません。さてそうなるとせっかくの機会だからとお隣さんの会場を覗いてみたくなるのですが、大変勉強になるときもあれば、ああくるんじゃなかったと、思うときもあります。ある程度こちらに予備知識が無いとトークには全くついて行けないわけで、そうなると何をこの人達はこんなに熱くなって議論しているのだろう?と、どっちにどう失礼なのか良く分かりませんが国会中継を見ているような気分になってきます。ただ、無理をしてでも自分の中の引き出しを増やしてゆく努力を続けていかないと袋小路に入ってしまったときに出られなくなりますし、これだけ多様な分野のセッションが一同に集まっている分子生物学会という場所は近くて遠いちょっと畑違いの研究分野を勉強するまたとない機会を提供してくれているのは間違いありません。
とはいえ、今や数千人が集まる一大イベントである分子生物学会も、その黎明期はこじんまりとした学会で、仲間内の情報交換の意味合いが強かったに違いありません。今の学会の姿はそれとは似て非なるもの。学会の目的や意義も大きく変わってしまったのでしょう。発生学会、RNA学会、細胞生物学会、生化学会、再生医療学会、眼科学会、潰瘍学会、ナノメディシン研究会、など、どっぷりつかっている学会、ちょっと覗いてみただけの学会、ピンポイントで参加した学会、いろいろありますが、X軸に学会の規模、Y軸に学会の英語化の度合いをとって分類すると、なかなか面白いです。はじめは小さい日本語オンリーの学会から始まって、小さいけれども英語を使用する学会に進んでゆくか、大きいけれども基本日本語の学会に進んでゆくか。進化系列上の最終地点はとても大きくて英語が公用語の学会、となるのでしょうが、国内ではまだそこまで行き着いた学会はないでしょう。恒星進化論によれば膨張を続けた星は自らの重力に耐えきれなくなって超新星爆発を起こすわけですが、分子生物学会はどういう方向にすすんでいくのでしょうか。また、いわゆる基礎研究系の場合、学会といえばイコール年会、というイメージが強いですが、そうでない集団もあることでしょう。それぞれの、学会なりの楽しみ方、いろいろあるようです。
中川
No comments:
Post a Comment