February 16, 2013
大河ドラマ(には程遠いですが)
皆様こんにちは、中川研にちょくちょく出入りしている芳本@理研です。
ここ半年ほどNGSのデータに触れる機会があります。
まずはじめにNGSの大波について個人的な印象を書かせていただきたいと思います。
一言で言うと
「これまでバイオリンの演奏を極めるべく腕を磨いていた演奏家がいきなりエレクトリック・ギターを手にした」
ような状況じゃないかと感じます。
バイオリンの演奏は難しく、センスと地道なトレーニングを必要とし、誰にでもできるわけではありません(生まれ変わっても私にはムリです)。
しかし演奏の限られた時間の中から真実を的確に切り出す姿には高い芸術を感じます。
例えば生化学的な実験にはこういう要素があると思います。
それに対し、NGSは誰にでも簡単に演奏出来て、大爆音でものすごい威力で人々を圧倒する(した)エレクトリック・ギターのようなものだと思います。
とても魅力的です。
ただし、洗練度はまだまだこれからといったところがあります。
その原因はノイズにまみれた大爆音の中に自分の音が埋もれているからではないでしょうか。
これは結構深刻なことで、例えば強引に正規化されたデータの一覧と、生のゲノムブラウザのデータの間にある本質的な差は、
中川さんが指摘されている通りだとおもいます。
というわけで大切なのは適切なフィルターないしエフェクターをうまく使って自分の欲しいデータを拾い出すことではないでしょうか。
先のENCODE論文もそういうところに結構重きをおいているような気がします。
もしよろしかったらもう少し書いてみたいとおもいます。
駄文ですみません。きっと中川さんやHGWのYさんが適切なツッコミを入れてくれると思います◆
February 12, 2013
RNAフロンティアミーティング2013のお知らせ
昨年10月に東大・分生研に移りました三嶋です。
おかげさまで引越しも無事に終わり、ゼブラフィッシュ共々新しい新しい環境にもだいぶ慣れてきました。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。
さて、そんな状況を見越したかのように(?)次回のRNAフロンティアミーティングの世話人を仰せつかりました。今年は東大・鈴木研の長尾翌手可さんと私の二人でお世話させていただきます。すでにTRCなどで一部の方にはお知らせしましたが、会期と場所が決まりました。この場を借りて再度お知らせさせていただきます。RiboClubと近い時期になってしまいましたが、ぜひ温泉で羽を伸ばしがてらお越し下さい。
会期:2013年9月3日(火)〜5日(木)
場所:ラフォーレ修善寺 (http://www.laforet.co.jp/lfhotels/szj/index.html)
実は私自身、前身の「RNA若手の会」時代にちょろっと参加して以来この手のミーティングにはご無沙汰でして、最近の様子がよく分かっておりません。そろそろマンネリ化してるんじゃないかなー、という勝手な想像のもといくつか新しい試みを考えてはいますが、アドバイスやリクエストがありましたらmishima@iam.u-tokyo.ac.jpまで気軽にメールいただけるとありがたいです。詳細やHPなどが決まりましたら随時このブログでも紹介して行きたいと思います。
と、これだけではただの宣伝になってしまいますので、中川さんのお話を受けてちょっと
一言。中川さんが紹介された「The illustrated guide to a Ph.D」のサイト (http://matt.might.net/articles/phd-school-in-pictures/)、実は壮大なサイドストーリーがあるのを皆さんお気づきになられたでしょうか。ずずっと下まで進んで行くと、イラストの追加説明とリンク (http://matt.might.net/articles/my-sons-killer/) があります。生命科学に関わる人間として大きく心を動かされる、また日々の研究活動のありかたを深く考えさせられるストーリーがそこにはありました。アカデミック、企業を問わず、生命科学を志す若手のみなさんにはぜひ一読をお勧めします。もちろん、PIの方にも。
三嶋
おかげさまで引越しも無事に終わり、ゼブラフィッシュ共々新しい新しい環境にもだいぶ慣れてきました。みなさま今後ともよろしくお願いいたします。
さて、そんな状況を見越したかのように(?)次回のRNAフロンティアミーティングの世話人を仰せつかりました。今年は東大・鈴木研の長尾翌手可さんと私の二人でお世話させていただきます。すでにTRCなどで一部の方にはお知らせしましたが、会期と場所が決まりました。この場を借りて再度お知らせさせていただきます。RiboClubと近い時期になってしまいましたが、ぜひ温泉で羽を伸ばしがてらお越し下さい。
会期:2013年9月3日(火)〜5日(木)
場所:ラフォーレ修善寺 (http://www.laforet.co.jp/lfhotels/szj/index.html)
実は私自身、前身の「RNA若手の会」時代にちょろっと参加して以来この手のミーティングにはご無沙汰でして、最近の様子がよく分かっておりません。そろそろマンネリ化してるんじゃないかなー、という勝手な想像のもといくつか新しい試みを考えてはいますが、アドバイスやリクエストがありましたらmishima@iam.u-tokyo.ac.jpまで気軽にメールいただけるとありがたいです。詳細やHPなどが決まりましたら随時このブログでも紹介して行きたいと思います。
と、これだけではただの宣伝になってしまいますので、中川さんのお話を受けてちょっと
一言。中川さんが紹介された「The illustrated guide to a Ph.D」のサイト (http://matt.might.net/articles/phd-school-in-pictures/)、実は壮大なサイドストーリーがあるのを皆さんお気づきになられたでしょうか。ずずっと下まで進んで行くと、イラストの追加説明とリンク (http://matt.might.net/articles/my-sons-killer/) があります。生命科学に関わる人間として大きく心を動かされる、また日々の研究活動のありかたを深く考えさせられるストーリーがそこにはありました。アカデミック、企業を問わず、生命科学を志す若手のみなさんにはぜひ一読をお勧めします。もちろん、PIの方にも。
三嶋
February 8, 2013
大河ドラマ(予告編)
ヒッグス粒子!!
これからの人生でこの言葉を理解する瞬間が訪れるのかどうかきわめて怪しい、というか訪れるわけないと諦めてるところもありますが、セントラルドグマ、がドグマでない世界があるのは間違いなく、shhやらwntやらprp19やらお前らよくそんな訳の分からん略語で話が盛り上がるよな、というのは、構造式で話が盛り上がる(僕らからすると亀の子だわしとその親戚がなんかくっついている方が分からなかったりする訳ですが)有機化学合成の友達が漏らしていた言葉です。異分野交流で実質的に明日の飯の糧になるものをすぐ見つけるのは不可能ですが、世の中分からない事だらけで自分の常識は他人の非常識、という事を知るのは、すごく大切な事だと思います。
たとえばこのサイト。博士を取るという事はどういう事か、研究とはなんぞや、学問とはなんぞや、が見事に視覚化されています。オリジナルはこちら。
日本語)http://www.tyzoh.jp/community/kkato/2010/08/16_123030.html
オリジナル)http://matt.might.net/articles/phd-school-in-pictures/
さて。世の中は安倍のみクスっ、ならぬ何やら効果で、景気が良くなっているようですし、三寒四温でこのごろ妙に春めいた日も多いせいか、この、領域newsletterもようやく長い冬の時代を超えてon goingの研究現場を垣間見ることのできる場となりそうです。大河ドラマの始まりです!
かつて、モザイクって何?Blastってどうやるの?という質問がそれほどアホあつかいされていなかったころ、今から振り返ってみたら冗談みたいなアホ^nな質問がデスク間を飛び回っていたものです。その状況を現在にそのまま持ってくると、、、。そうです。次世代シークエンサー、もとい。今世代シークエンサーが吐き出したデータ処理です。皆さん苦労されていたり、俺が苦労するところはこんなところじゃないという、まるで俺の肺は壊しているけれども地球を壊している訳でないという喫煙者が喫煙を肯定するとうてい無理な理屈を持ち出して背を向けていたり、いろいろあると思うのですが、やはりあと5年で引退!!というのでなければ、つきあわなければいけない相手です。つきあったらすごく素敵な相手かも知れません。
この、得体の知れない転校生、a new kid in town、との奮闘の日々。大河ドラマ。不定期でこれからこの場でご紹介してくださるTMTのY君とHGWのYさん。よろしくお願いしまーす!
中川
これからの人生でこの言葉を理解する瞬間が訪れるのかどうかきわめて怪しい、というか訪れるわけないと諦めてるところもありますが、セントラルドグマ、がドグマでない世界があるのは間違いなく、shhやらwntやらprp19やらお前らよくそんな訳の分からん略語で話が盛り上がるよな、というのは、構造式で話が盛り上がる(僕らからすると亀の子だわしとその親戚がなんかくっついている方が分からなかったりする訳ですが)有機化学合成の友達が漏らしていた言葉です。異分野交流で実質的に明日の飯の糧になるものをすぐ見つけるのは不可能ですが、世の中分からない事だらけで自分の常識は他人の非常識、という事を知るのは、すごく大切な事だと思います。
たとえばこのサイト。博士を取るという事はどういう事か、研究とはなんぞや、学問とはなんぞや、が見事に視覚化されています。オリジナルはこちら。
日本語)http://www.tyzoh.jp/community/kkato/2010/08/16_123030.html
オリジナル)http://matt.might.net/articles/phd-school-in-pictures/
さて。世の中は安倍のみクスっ、ならぬ何やら効果で、景気が良くなっているようですし、三寒四温でこのごろ妙に春めいた日も多いせいか、この、領域newsletterもようやく長い冬の時代を超えてon goingの研究現場を垣間見ることのできる場となりそうです。大河ドラマの始まりです!
かつて、モザイクって何?Blastってどうやるの?という質問がそれほどアホあつかいされていなかったころ、今から振り返ってみたら冗談みたいなアホ^nな質問がデスク間を飛び回っていたものです。その状況を現在にそのまま持ってくると、、、。そうです。次世代シークエンサー、もとい。今世代シークエンサーが吐き出したデータ処理です。皆さん苦労されていたり、俺が苦労するところはこんなところじゃないという、まるで俺の肺は壊しているけれども地球を壊している訳でないという喫煙者が喫煙を肯定するとうてい無理な理屈を持ち出して背を向けていたり、いろいろあると思うのですが、やはりあと5年で引退!!というのでなければ、つきあわなければいけない相手です。つきあったらすごく素敵な相手かも知れません。
この、得体の知れない転校生、a new kid in town、との奮闘の日々。大河ドラマ。不定期でこれからこの場でご紹介してくださるTMTのY君とHGWのYさん。よろしくお願いしまーす!
中川
February 5, 2013
ちゃーりーの「どっからでもかかってきなさい」
あと、下のコメント欄で(めずらしく)ひっそりと宣伝されていた河岡君の海外留学ブログを、大々的に宣伝しておきます。
http://charlie-kawashin.hatenablog.com/
東大・分生研 泊
http://charlie-kawashin.hatenablog.com/
東大・分生研 泊
日仏先端科学シンポジウム
中川さんと同じく、最近日本語の総説執筆と戦っていた泊です。1ヶ月以上遅れですが、皆さま新年あけましておめでとうございます。それから、私事ですが2/1付けで教授に昇任いたしました。研究室の体制等を含めて特に変化はありませんが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて先日、日仏先端科学シンポジウムという会合に参加してきました。
http://www.jsps.go.jp/j-bilat/fos_jf/jishi_07.html
これは、日本とフランスの幅広い専門分野の科学者が一緒に泊まり込んで、いくつかの決められたトピックについてああでもないこうでもないと議論しましょう、と言う趣旨のものです。日仏の他に日米、日独のバージョンもあるらしいのですが、私にとってこの様な会合は初めての参加でした。
今回の生物学のトピックは、すばりそのまま「small RNA」だったのですが、普段の学会とは違い、聞いている人々が、それこそヒッグス粒子を観測した人とか、隕石の年代を測定している人とか、サイエンスにおけるジェンダーを専門にしている人とか、科学者といえどもありとあらゆるバックグラウンドの人がいたために、「伝える」ということに大変苦心しました。
私はChairという立場で、そもそもsmall RNAとは何かということを会場の人に分かってもらい、その後の専門的な話(阪大の河原さん: 神経変性疾患におけるmiRNAの生合成の異常、CNRSのPfefferさん: small RNAを介したウィルスとホストのせめぎあい)につなげる、という役割でした。実際に参加するまでは「さすがにみんな科学者なのだからセントラルドグマぐらいは大丈夫だろう」と思って、自分自身の研究成果も少し含めたイントロダクションのスライドを用意してたのですが、前日に他分野の方に聞いてみると、実はそうでも無いということが分かり(逆に、ヒッグス粒子を理解するために必要な「標準理論」のバックグラウンドが私たち生物学者には全く無いということも分かり)、自分の研究に関する内容はすべて削除して、スライドを大幅に作り直すことになりました。
色々悩んだ結果、YouTubeのこのビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=gZZyxVP02UU
を大々的に使って説明してみたところ、これが大正解。複数回参加している方からも「いつも生物学のセッションは、意味不明な省略語(遺伝子名や現象名のことだと思われる)が次々出てきて、気づいたら終わってることが多いけど、今回のはとてもよく分かった」と言われました。
さすが映像の力は偉大だな、と思っていたのもつかの間、「で、さっきのビデオは実際の何倍速ぐらいなのか?」とか「これは体の中で1秒間に何回ぐらい起こっているのか?」とかいう予期しない質問が出てきました。映像の伝える力があまりにも強いために、あたかも自分の体の中の実際をそのまま拡大したものであるかの様な錯覚(というか実感)で捉えられてしまったのです。結局、思考回路を整理できないまま「いや、このビデオはコンセプトを伝えるものであって、実際に起こっている物理的な現象とは少し違って・・・その辺りを定量的に測定するのは結構難しくて・・・」と、ごにょごにょお茶を濁してしまいました。科学者相手であってさえ(あるいは科学者相手だったからこそ?)、「分かりやすさ」と「正確さ」の両立がいかに難しいかということを、改めて実感させられました。
私自身は、結局最後まで「ヒッグス粒子」についてはあまり理解できませんでしたが、それでも、子どもの頃に科学雑誌などを読んで感じた「何かよく分からないけどすごいな」という感覚を新鮮に思い出させてくれましたし、他分野の科学者と同じ目線・同じ言葉でじっくりと議論できた、ということ自体とても良い経験でした。
新学術領域研究では「国民との科学・技術対話」というものが重要視され、いわゆるアウトリーチ活動が強く推奨されています。そろそろ最終年度を迎える本領域も、研究成果、いや、「非コードRNA研究の面白さ」をどうやって伝えていくかを本気で考えないといけないな、と感じる今日この頃です。
東大・分生研 泊
さて先日、日仏先端科学シンポジウムという会合に参加してきました。
http://www.jsps.go.jp/j-bilat/fos_jf/jishi_07.html
これは、日本とフランスの幅広い専門分野の科学者が一緒に泊まり込んで、いくつかの決められたトピックについてああでもないこうでもないと議論しましょう、と言う趣旨のものです。日仏の他に日米、日独のバージョンもあるらしいのですが、私にとってこの様な会合は初めての参加でした。
今回の生物学のトピックは、すばりそのまま「small RNA」だったのですが、普段の学会とは違い、聞いている人々が、それこそヒッグス粒子を観測した人とか、隕石の年代を測定している人とか、サイエンスにおけるジェンダーを専門にしている人とか、科学者といえどもありとあらゆるバックグラウンドの人がいたために、「伝える」ということに大変苦心しました。
私はChairという立場で、そもそもsmall RNAとは何かということを会場の人に分かってもらい、その後の専門的な話(阪大の河原さん: 神経変性疾患におけるmiRNAの生合成の異常、CNRSのPfefferさん: small RNAを介したウィルスとホストのせめぎあい)につなげる、という役割でした。実際に参加するまでは「さすがにみんな科学者なのだからセントラルドグマぐらいは大丈夫だろう」と思って、自分自身の研究成果も少し含めたイントロダクションのスライドを用意してたのですが、前日に他分野の方に聞いてみると、実はそうでも無いということが分かり(逆に、ヒッグス粒子を理解するために必要な「標準理論」のバックグラウンドが私たち生物学者には全く無いということも分かり)、自分の研究に関する内容はすべて削除して、スライドを大幅に作り直すことになりました。
色々悩んだ結果、YouTubeのこのビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=gZZyxVP02UU
を大々的に使って説明してみたところ、これが大正解。複数回参加している方からも「いつも生物学のセッションは、意味不明な省略語(遺伝子名や現象名のことだと思われる)が次々出てきて、気づいたら終わってることが多いけど、今回のはとてもよく分かった」と言われました。
さすが映像の力は偉大だな、と思っていたのもつかの間、「で、さっきのビデオは実際の何倍速ぐらいなのか?」とか「これは体の中で1秒間に何回ぐらい起こっているのか?」とかいう予期しない質問が出てきました。映像の伝える力があまりにも強いために、あたかも自分の体の中の実際をそのまま拡大したものであるかの様な錯覚(というか実感)で捉えられてしまったのです。結局、思考回路を整理できないまま「いや、このビデオはコンセプトを伝えるものであって、実際に起こっている物理的な現象とは少し違って・・・その辺りを定量的に測定するのは結構難しくて・・・」と、ごにょごにょお茶を濁してしまいました。科学者相手であってさえ(あるいは科学者相手だったからこそ?)、「分かりやすさ」と「正確さ」の両立がいかに難しいかということを、改めて実感させられました。
私自身は、結局最後まで「ヒッグス粒子」についてはあまり理解できませんでしたが、それでも、子どもの頃に科学雑誌などを読んで感じた「何かよく分からないけどすごいな」という感覚を新鮮に思い出させてくれましたし、他分野の科学者と同じ目線・同じ言葉でじっくりと議論できた、ということ自体とても良い経験でした。
新学術領域研究では「国民との科学・技術対話」というものが重要視され、いわゆるアウトリーチ活動が強く推奨されています。そろそろ最終年度を迎える本領域も、研究成果、いや、「非コードRNA研究の面白さ」をどうやって伝えていくかを本気で考えないといけないな、と感じる今日この頃です。
東大・分生研 泊
February 3, 2013
日本語のレビュー
このところ某実験医学の特集号の原稿にかかりっきりでなかなかまとまった時間が取れず、久しぶりに当ブログを見に来て、もしかしたら領域代表ほか班員の皆様の新年のご挨拶とかあったりして、という淡い期待は、、、いや。いいんです。やはり皆さんお忙しいですし。ブログ書いてる暇あったら実験せいー実験!!というのが一般論だと思いますし、実験屋はやはりベンチで手を動かしてなんぼの職業ですから。
そういう意味では、かつてもここでちょっと触れましたが、いわゆる日本語のレビューも、同じような扱いを受けているような気がします。正直言いますと、大学院生の頃、この手の原稿を書いている研究者をネガティブな印象で見ていたところがあったような気がします。サイエンスの舞台は世界じゃろうが。日本人しか読めない、しかも査読も無い原稿書いて何が嬉しいんだろ。そもそも、業界トップの人ってこういうの書かないし。時間の無駄無駄、実験しよ!!!、と。そのくせ、友人やら後輩やらが書いた原稿が載っている号がピカピカ店頭に並んでいるのを見ると、なんだか面白くないような気持ちになって、ますます先鋭化して、ひたすら世の中との関わりを立って実験に没頭しようとしている自分に酔っている状態、へと突き進む、、、とここまでいくと、立派な危険領域です。
日本語のレビューは、というか英語であろうがエスペラントであろうが、ピアレビューを経ない論文は「業績」欄にカウントされないと思うのですが、また当然そうあるべきだと思うのですが、科学者がいわゆる「業績」とは無関係の活動を全くしてはいけないのか、というと、それはそうでもないのかな、という気もします。このごろは大学とは縁遠くなってしまったので大学生協の本屋の平積みの現況がどうなっているのか知らないのですが、ちょっと背伸びをしたい新入生の学生さん向けの『自由からの逃走』や『夜と霧』が並んでいる教養書の隣の生命科学のコーナーではきまって日高さん著の『ソロモンの指輪』、岡田先生著の『細胞の社会』、新しどころでは某Y御大、柳田さん著の『DNA学のすすめ』みたいな本が並んでいたような気がします。日高先生のサイエンティフィックなお仕事は恥ずかしながら知らないのですが、訳本のほうが有名、という気がしますが、よしんばそうであったとしても、当時の僕にとってはヒーローであったですし、それは今でも変わりません。
僕自身が中学生や高校生、学部時代に心引かれた著者物を書かれていた先生は、執筆当時引退間際の大先生だった訳ではなく、40代から50代、バキバキに脂ののった現役の先生だったはずです。今の学生さんが心躍らせるような書物はあるのでしょうか?もし無いのだとしたら、相変わらず古典しか無いとしたら、それは間違いなく僕らの世代が語りたくて仕方が無い事をアカデミック以外の場で語ることをサボったからにほかならないかと。そう思ったりもします。
話が散漫になってしまいましたが、ちょっと後ろめたい気持ちで日本語のレビューを読む事は無いし、ちょっと後ろめたい気持ちで日本語のレビューを書くこともなかろうかと。せっかく先人の驚異的な努力で母国語を使ってサイエンスを語れる幸せな環境を作ってもらったのだから、それを素直に享受しても罰は当たらないと。でもそろそろベンチに戻らないと、、、
中川
そういう意味では、かつてもここでちょっと触れましたが、いわゆる日本語のレビューも、同じような扱いを受けているような気がします。正直言いますと、大学院生の頃、この手の原稿を書いている研究者をネガティブな印象で見ていたところがあったような気がします。サイエンスの舞台は世界じゃろうが。日本人しか読めない、しかも査読も無い原稿書いて何が嬉しいんだろ。そもそも、業界トップの人ってこういうの書かないし。時間の無駄無駄、実験しよ!!!、と。そのくせ、友人やら後輩やらが書いた原稿が載っている号がピカピカ店頭に並んでいるのを見ると、なんだか面白くないような気持ちになって、ますます先鋭化して、ひたすら世の中との関わりを立って実験に没頭しようとしている自分に酔っている状態、へと突き進む、、、とここまでいくと、立派な危険領域です。
日本語のレビューは、というか英語であろうがエスペラントであろうが、ピアレビューを経ない論文は「業績」欄にカウントされないと思うのですが、また当然そうあるべきだと思うのですが、科学者がいわゆる「業績」とは無関係の活動を全くしてはいけないのか、というと、それはそうでもないのかな、という気もします。このごろは大学とは縁遠くなってしまったので大学生協の本屋の平積みの現況がどうなっているのか知らないのですが、ちょっと背伸びをしたい新入生の学生さん向けの『自由からの逃走』や『夜と霧』が並んでいる教養書の隣の生命科学のコーナーではきまって日高さん著の『ソロモンの指輪』、岡田先生著の『細胞の社会』、新しどころでは某Y御大、柳田さん著の『DNA学のすすめ』みたいな本が並んでいたような気がします。日高先生のサイエンティフィックなお仕事は恥ずかしながら知らないのですが、訳本のほうが有名、という気がしますが、よしんばそうであったとしても、当時の僕にとってはヒーローであったですし、それは今でも変わりません。
僕自身が中学生や高校生、学部時代に心引かれた著者物を書かれていた先生は、執筆当時引退間際の大先生だった訳ではなく、40代から50代、バキバキに脂ののった現役の先生だったはずです。今の学生さんが心躍らせるような書物はあるのでしょうか?もし無いのだとしたら、相変わらず古典しか無いとしたら、それは間違いなく僕らの世代が語りたくて仕方が無い事をアカデミック以外の場で語ることをサボったからにほかならないかと。そう思ったりもします。
話が散漫になってしまいましたが、ちょっと後ろめたい気持ちで日本語のレビューを読む事は無いし、ちょっと後ろめたい気持ちで日本語のレビューを書くこともなかろうかと。せっかく先人の驚異的な努力で母国語を使ってサイエンスを語れる幸せな環境を作ってもらったのだから、それを素直に享受しても罰は当たらないと。でもそろそろベンチに戻らないと、、、
中川
January 10, 2013
進化のスナップショット
いつの間にか年が明けてしまいました。というか確信犯で年末年始はベンチから離れていたのですが、いい加減に始動しないと永遠に冬眠してしまいそうなので、そろそろエンジン全開したいと思います。
さすが一億総ブロガーのお国柄、安倍首相もFacebookを始められたらしいですが、当新学術領域も、キリッと、リアルタイムで活動報告をしていきます!というわけで班員の皆様、報告してください。まずは領域代表から一言。。。
ーー
ということで、次の話題は、進化のスナップショット、というちょっと背伸びしたお題です。次世代シークエンサーは今世代シークエンサーという名言を残してサイバー空間から消えてしまった某K君の予言通り、昨年2012年はRを駆使した統計データがばんばん誌上を賑やかに飾っていましたが、今年2013年、Twitter上の噂によれば1987年以来26年ぶりに全ての数字が違う年だそうですが(来年もそうですが)、今年もますます今世代シークエンサーは当たり前の技術として世の隅々まで浸透してゆくことになるのでしょうか。
時代についていくのは大変ですし、いい年をしたおっさんがちょっと遅れて必死についていこうとするのも若者言葉を必死で真似するみたいでみっともないところもあるのかもしれませんが、泰然自若と構えられるほど僕自身は大物ではないので、最近必死にこの手の話題にかじりつこうとしている次第です。とはいえ、コンピュータと向かい合う時間が多いのはまずい。まずい。非常にまずい。とにかく誘惑が多い。ベンチで禁欲的な生活を送っていた研究者にとって、外の世界とつながる事ができるコンピューターは息抜きという感覚が残っていて、ついつい、ダウンロードやアップロードがちんたらしているとYahooのニュースサイトや名人戦速報サイトに行ってしまうのですね。かつて修学旅行のときに家にテレビがない友人はかじりつくように必死にテレビにしがみついていたのと、そして家にテレビがある普通の中学生はなんとか番組が見れるようにいわゆる有料放送の100円玉投入口に必死に針金を突っ込んでいたのと(フロントに止められていますって)、レベルが変わりません。なんて思っていたら、うちの所長が特別講演でおっしゃっていました。
「プライベートは大切に。」
「ラボでは真剣に。」
「ラボでは新聞を読むな。窓際族になるな。」
うーむ。反省。反省。息抜きは程々に。
ともあれ、まだまだ自分で解析をする事などは出来ませんが、public databaseに落ちているどのファイルをどのアプリケーションで開くかぐらいは、なんとなく分かってきました。千里の道も一歩から。拡張子というのはベンチで禁欲的な生活を送っていたペキン原人にとってかなりハードルの高い概念で、jpgとかtiffとか中身はブラックボックスでもいちおう使っているわけですが、同様にbamとかbedとか、中身は良く分からないですけど、あ、開いた!というだけで嬉しいものです(レベル低すぎ)。
話を元に戻すと、ようやく、自分自身のプロジェクトのDeep-seqのデータが帰ってきて、一応Viwerで見れるフォーマットのファイルまで作ってくれていたのでつらつら見ていたのですが、自分のデータとは別のレベルで面白い!
え、こんなところが転写されているの?なんだ、ただのリピートか。あれっ?これは新しいUTRか。おっ、新しいlncRNA見っけ。
というような驚きがばんばんあるものなのですね。その多くは、つまらないartifactだったり既に報告されていたりするものだったり今更言うまでもない周知の事実だったりするとは思うのですが、IGVビューアでファイルを開くだけで、ちょっと大人の世界に入った気になった子供のような気分になってしまいました。
知る人ぞ知る、ミトコンドリアゲノムがホストのゲノムに飛び込んでいるという事実。それらの配列はなんとNumt (nuclear mitochondrial DNA) と言うらしいのですが(三島の細胞内共生の怪物M君情報ありがとうございます)、つらつらとChromosome1から必殺人力peak callアルゴリズムを走らせていると、突然アホみたいなピークが出てくることがあるのですね。ちなみにこれはpublic databaseで見る事の出来るマウスのMyo3aという遺伝子のイントロン部分なのですが、見事にイントロン部分にたくさんのリードが貼り付いています。これはこの部分が強烈に転写されている、というのではなく、RNAサンプルにたくさん含まれていたミトコンドリアRNA由来のリードが、全く同じ配列を持つこの部分に貼り付いている、ということなのでしょう。
種間の保存性を見てみると、すごく進化的に近いラットやヒトではこの挿入はありません。レトロトランスポゾンでは良くある話ですが。ニワトリにこの挿入があるのは何故??か良くわかりませんが、まさに最近飛び込んだばっかり!というのは、そのような気がします。我々の細胞がミトコンドリアと共生をはじめたのは太古の昔ですが、いまだに遺伝子のやり取りがあるというのはちょっとした驚きでした。というわけで、これが進化のスナップショット!
ゲノムの解析というのは究極の考古学だと思うのですが、インディジョーンズでなくても、古代の出来事を身近に感じるのはとてもワクワクする事のような気がします。自分の仕事とは全然関係ないのですが、しばらくこの手の配列をブラウザで探してうっとりと眺めてしまいました。まずい。まずい。非常にまずい。やっぱりデスクに座っていると誘惑が多いです。
中川
さすが一億総ブロガーのお国柄、安倍首相もFacebookを始められたらしいですが、当新学術領域も、キリッと、リアルタイムで活動報告をしていきます!というわけで班員の皆様、報告してください。まずは領域代表から一言。。。
ーー
ということで、次の話題は、進化のスナップショット、というちょっと背伸びしたお題です。次世代シークエンサーは今世代シークエンサーという名言を残してサイバー空間から消えてしまった某K君の予言通り、昨年2012年はRを駆使した統計データがばんばん誌上を賑やかに飾っていましたが、今年2013年、Twitter上の噂によれば1987年以来26年ぶりに全ての数字が違う年だそうですが(来年もそうですが)、今年もますます今世代シークエンサーは当たり前の技術として世の隅々まで浸透してゆくことになるのでしょうか。
時代についていくのは大変ですし、いい年をしたおっさんがちょっと遅れて必死についていこうとするのも若者言葉を必死で真似するみたいでみっともないところもあるのかもしれませんが、泰然自若と構えられるほど僕自身は大物ではないので、最近必死にこの手の話題にかじりつこうとしている次第です。とはいえ、コンピュータと向かい合う時間が多いのはまずい。まずい。非常にまずい。とにかく誘惑が多い。ベンチで禁欲的な生活を送っていた研究者にとって、外の世界とつながる事ができるコンピューターは息抜きという感覚が残っていて、ついつい、ダウンロードやアップロードがちんたらしているとYahooのニュースサイトや名人戦速報サイトに行ってしまうのですね。かつて修学旅行のときに家にテレビがない友人はかじりつくように必死にテレビにしがみついていたのと、そして家にテレビがある普通の中学生はなんとか番組が見れるようにいわゆる有料放送の100円玉投入口に必死に針金を突っ込んでいたのと(フロントに止められていますって)、レベルが変わりません。なんて思っていたら、うちの所長が特別講演でおっしゃっていました。
「プライベートは大切に。」
「ラボでは真剣に。」
「ラボでは新聞を読むな。窓際族になるな。」
うーむ。反省。反省。息抜きは程々に。
ともあれ、まだまだ自分で解析をする事などは出来ませんが、public databaseに落ちているどのファイルをどのアプリケーションで開くかぐらいは、なんとなく分かってきました。千里の道も一歩から。拡張子というのはベンチで禁欲的な生活を送っていたペキン原人にとってかなりハードルの高い概念で、jpgとかtiffとか中身はブラックボックスでもいちおう使っているわけですが、同様にbamとかbedとか、中身は良く分からないですけど、あ、開いた!というだけで嬉しいものです(レベル低すぎ)。
話を元に戻すと、ようやく、自分自身のプロジェクトのDeep-seqのデータが帰ってきて、一応Viwerで見れるフォーマットのファイルまで作ってくれていたのでつらつら見ていたのですが、自分のデータとは別のレベルで面白い!
え、こんなところが転写されているの?なんだ、ただのリピートか。あれっ?これは新しいUTRか。おっ、新しいlncRNA見っけ。
というような驚きがばんばんあるものなのですね。その多くは、つまらないartifactだったり既に報告されていたりするものだったり今更言うまでもない周知の事実だったりするとは思うのですが、IGVビューアでファイルを開くだけで、ちょっと大人の世界に入った気になった子供のような気分になってしまいました。
知る人ぞ知る、ミトコンドリアゲノムがホストのゲノムに飛び込んでいるという事実。それらの配列はなんとNumt (nuclear mitochondrial DNA) と言うらしいのですが(三島の細胞内共生の怪物M君情報ありがとうございます)、つらつらとChromosome1から必殺人力peak callアルゴリズムを走らせていると、突然アホみたいなピークが出てくることがあるのですね。ちなみにこれはpublic databaseで見る事の出来るマウスのMyo3aという遺伝子のイントロン部分なのですが、見事にイントロン部分にたくさんのリードが貼り付いています。これはこの部分が強烈に転写されている、というのではなく、RNAサンプルにたくさん含まれていたミトコンドリアRNA由来のリードが、全く同じ配列を持つこの部分に貼り付いている、ということなのでしょう。
種間の保存性を見てみると、すごく進化的に近いラットやヒトではこの挿入はありません。レトロトランスポゾンでは良くある話ですが。ニワトリにこの挿入があるのは何故??か良くわかりませんが、まさに最近飛び込んだばっかり!というのは、そのような気がします。我々の細胞がミトコンドリアと共生をはじめたのは太古の昔ですが、いまだに遺伝子のやり取りがあるというのはちょっとした驚きでした。というわけで、これが進化のスナップショット!
ゲノムの解析というのは究極の考古学だと思うのですが、インディジョーンズでなくても、古代の出来事を身近に感じるのはとてもワクワクする事のような気がします。自分の仕事とは全然関係ないのですが、しばらくこの手の配列をブラウザで探してうっとりと眺めてしまいました。まずい。まずい。非常にまずい。やっぱりデスクに座っていると誘惑が多いです。
中川
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